演技力を上げたい!
でも、どうすればいいの?
これは俳優や声優を目指す多くの人が抱える共通の悩みです。
「演技が上手くなりたい」と思っても、具体的な練習方法がわからなかったり、自分の実力が向上しているのか判断できなかったりして行き詰まることがありますよね。
演技の上手い人を見て「どうしたらあんなに自然に役を演じられるんだろう?」と疑問を持つのは当然です。
この記事では、これから俳優や声優を目指す人に向けて、演技力を効果的に上げるための具体的な方法をご紹介します。
プロの現場で実際に使われているテクニックから、自宅でできる簡単なトレーニングまで、演技力アップに役立つ情報が満載です。
ぜひ、明日からの練習やレッスンに活かしてみてください。
演技力を上げる方法とは?まず知っておくべきこと

演技力って何?演技が上手い人の共通点とは
「演技」は、単純に「セリフを上手に読む」ことではありません。
「キャラクターになりきり、感情や状況を自然に表現して観客を引き込む力」が演技力です。
つまり、観ている人や聞いている人に「このキャラクターが実在している」と思わせる力のことです。
自然に見える(聞こえる)かどうかが大きなポイントです。
演技が上手い人にはいくつか共通点があります。
たとえば「感情表現がリアル」「セリフが自然」「キャラクターの細かな特徴を的確に表現できる」「周囲の状況に合わせた反応が上手い」といったところです。
- 感情表現が豊かで、多様な感情をリアルに表現できる
- 体や声のコントロールが優れている
- 観察力が鋭く、人間の細かな行動や癖を理解している
- 想像力が豊かで、役になりきる能力が高い
- 相手役や状況に柔軟に対応できる
「人間(やキャラ)の動きや心の動きを深く理解している」人が、演技が上手い人の特徴とも言えます。
初心者が演技力を上げるには何から始めるべき?
初心者のうちは、まず「自己分析と観察」の2つを意識するといいです。
自分が普段どんな声や表情を出しているかを自覚するだけでも、「あ、意外と声が小さいんだな」とか「笑うときってこんな顔してるのか」などの発見があります。
また、人の動きや感情の変化を観察することも大事です。
身近な人のしぐさ、電車や街中での人々の様子、アニメやドラマでのキャラクターの動きなど、ありとあらゆる「人間ウォッチング」が演技力を上げる土台になります。
なぜなら「イメージすらできない人のことを演じることはできない」からです。
そして、それと同時に「基礎トレーニング」で基礎力を高めることも始めましょう。
- 発声と滑舌の練習
演技の土台となる声の出し方をマスターする - 身体づくり
体を思い通りに動かせるようにする - 感情コントロール
基本的な感情(喜怒哀楽)を表現できるようにする - 観察する習慣
日常生活の中での人々の行動や表情を観察する
これらは毎日少しずつでも継続して行うことが大切です。
たとえば、朝の10分間は発声練習、夜の5分間は感情表現の練習など、ルーティンを作ると続けやすいですよ。
演技力を上げる方法は1つじゃない!自分に合った練習法を見つけよう
演技力を上げる練習法は、本当に幅広いです。
感情を鍛えるトレーニング、セリフの読み方、台本を使った演技練習、発声や滑舌、観察力強化、即興(インプロ)などなど。
それぞれの特徴を知って、自分のスタイルや好みに合った練習法を選ぶことがポイントです。
演技力は「これ1つやれば完璧!」というものではないので、さまざまなアプローチを試してみるのがおすすめです。
例えば、
- スタニスラフスキーシステム
役の内面から感情を引き出す方法 - メソッド演技
実体験や記憶を活用して役に入り込む方法 - ヴァフタンゴフ・メソッド
想像力と身体表現を組み合わせた方法
これらは全て優れた方法ですが、あなたに合うのはどれでしょうか?
僕はお芝居を始めた頃に、スタニスラフスキーの本をいくつか読みましたが、難しくて自分には合いませんでした、笑
最初は色々試してみて、「これだ!」と思える方法を見つけることが重要です。
自分の感覚や性格に合った練習法を見つけられれば、演技の上達スピードも格段に上がりますよ。
具体的な演技力を上げる方法【声優・俳優どちらにも有効】

感情表現を鍛えるトレーニング方法【演技が上手くなる方法】
感情表現は演技の核心部分です。
これを鍛えるトレーニングをいくつか紹介します。
まず「感情カード練習」です。
「喜び」「悲しみ」「怒り」「驚き」など、感情を書いたカードをランダムに引き、その感情を即座に表現する練習です。
これを繰り返すと、感情の切り替えが素早くなります。
そこにプラスして、「混ざった感情」にも挑戦してみるとさらに上達します。
たとえば「嬉しいけど少し不安」「怒ってるけど本当は寂しい」みたいな微妙な感情のニュアンスを試してみると、演技がグッと深まりますし、伝わる印象も違ってきます。
次に「感情の階段」です。
たとえば「感情カード練習」の中でも、段階分けするとさらに奥深く、楽しい練習ができます。
「怒り」なら、少しイライラする状態から激怒するまでを10段階に分け、段階ごとに表現を変えていくといった練習です。
そして「感情の記憶(感情メモリー)」も効果的です。
自分が過去に経験した感情を思い出し、それを演技に活かす方法です。
たとえば過去に悲しかった出来事を少し思い出して、そのときに感じた感情と身体の反応を再現してみます。
ただし無理は禁物なので、辛い記憶を呼び起こしすぎないように気をつけましょう。
これらの練習を日常的に行うことで、感情表現の幅が広がり、演技に深みが出てきます。
感情表現のトレーニング例
感情スイッチング練習
- 鏡の前に立つ
- 「喜び→悲しみ→怒り→恐怖」などと感情を次々に切り替える
- 各感情を顔と体全体で表現する
- 徐々に切り替えのスピードを上げていく
感情日記の作成
毎日の感情を記録し、「なぜそう感じたのか?」「その時どんな表情や姿勢だったか?」を振り返ります。
これにより自分の感情の動きを客観的に理解できるようになります。
複雑感情の練習
「悲しいけど笑っている」「怒りを抑えている」など、複雑な感情状態を練習します。
プロの演技は単純な感情ではなく、複雑な感情の表現が求められることが多いんです。
人間の感情表現は複雑で、必ずしもストレートな表現ばかりではありません。
たとえば、弱みを見せたくなくて「強がってしまう時」、相手に心配をかけたくなくて「感情を隠す時」、他にも、「相手に悟ってほしい時」「相手への配慮」などによって、感情表現は複雑に変化します。
背景にある感情や意図を表現することができれば、演技にも深みが増しますね。
セリフの練習で演技力を上げる方法
声優でも俳優でも、セリフを自然に伝えられるかどうかは超重要です。
何度も読んで覚えるのはもちろんですが、ただ丸暗記するだけでは不十分です。
セリフの裏にある気持ちや、キャラクターが置かれている状況をイメージして、「その言葉をなぜ言うのか?」をしっかり考えながら練習しましょう。
おすすめは、「ゆっくり読んでみる→普通のスピードで読んでみる→テンポを変えてみる」といった感じで、同じセリフでも何通りかの言い方を試すことです。
また、「アクセントと間の練習」も大事で、同じセリフでも、アクセントを少し変えたり、間(ま)を取る場所を変えたりすることで、全く違う印象になります。
いろんなアプローチをすることで、「こう言ったほうが自然だな」というポイントが見えてきます。
声優志望であればマイク前でしゃべる練習をしてみたり、俳優志望であれば身体の動きと合わせてセリフを言ったりして、実践的に訓練するのがおすすめです。
効果的なセリフ練習法をご紹介します。
- 多様な言い方の練習
同じセリフを「怒って」「悲しみながら」「急いで」「秘密を話すように」など、様々な感情や状況で言ってみましょう。 - セリフの背景を掘り下げる
「なぜこのセリフを言うのか?」「このセリフで何を伝えたいのか?」と考えます。
単なる言葉の暗記ではなく、セリフの意図や背景を理解することで、自然な演技につながります。 - 口すっぱい練習法
セリフを100回以上繰り返し練習します。
この方法で、セリフが自分の体に染み込み、自然に出てくるようになります。
多くの大先輩たちも実践している方法です。
台本を使った効果的な演技練習
台本を使った練習は、実践的な演技力を身につける上で欠かせません。
効果的な台本練習法をいくつか紹介します。
「状況設定の変更」は、同じ台本でも状況を変えて演じる練習です。
たとえば、同じ会話シーンでも「喫茶店で」「雨の中で」「喧嘩した直後で」など状況を変えることで、同じセリフでも表現方法が変わります。
「キャラクター分析」も重要です。
台本を読む際、キャラクターの年齢、職業、性格、過去の経験、他のキャラクターとの関係などを詳細に分析します。
キャラクターシートを作成すると効果的です。
そして「台本音読の繰り返し」も基本中の基本。
最初は台詞の意味を理解するだけの音読から始め、徐々に感情を込めていきます。
最終的には台本を見なくても話せるくらいまで練習すると、自然な演技につながります。
台本練習は地道ですが、演技の基盤を作る上でとても大切です。
継続して取り組みましょう。
「間」を読む練習
台本に書かれていない感情や状況を想像します。
「このセリフの前に何があったのか?」「このキャラクターの過去は?」と考えることで、奥行きのある演技ができます。
台本分析のステップ
- 最初に通して読む(全体のストーリーを把握)
- 自分の役のセリフとアクションに印をつける
- キャラクターの目標、願望、恐れなどを書き出す
- 各シーンでの感情の変化を書き込む
- 声のトーン、間の取り方などを検討する
リーディング練習
友達や家族と一緒に台本の読み合わせをします。
一人では気づかない発見がたくさんあるでしょう。
録音して聞き返すのも効果的です。
演技は、相手とのやりとりや空気感が大事なので、ぜひ複数人で試してみてください。
発声と滑舌のトレーニング
発声と滑舌は、特に声優志望者にとって基本中の基本ですが、俳優にとっても重要なスキルです。
効果的なトレーニング法を紹介します。
「腹式呼吸の練習」は、発声の基礎となります。
仰向けに寝て、お腹に本を置き、呼吸だけでその本を上下させる練習をします。
腹式呼吸ができると、長いセリフも安定した声で話せるようになります。
毎日5分でも続けることで、声に芯が生まれます。
「滑舌ドリル」も効果的です。
「生麦生米生卵」などの早口言葉を毎日練習すると、はっきりとした発音が身につきます。
また、アイウエオの母音をしっかり発音する練習も大切です。
最初は、しっかりと口の形を確認しながらゆっくりと、徐々にスピードを上げていきましょう。
「声の表現幅を広げる練習」も重要です。
高い声、低い声、優しい声、怒った声など、様々な声色を出す練習をしましょう。
同じセリフでも異なる感情や状況で話してみるのも良い練習になります。
これらのトレーニングは、声優だけでなく俳優にとっても基本的なスキルです。
毎日少しずつでも続けることで、大きな成長につながります。
観察力を鍛えるコツ
演技が上手い人の特徴の一つが、優れた観察力です。
誰かと会話しているとき、どんな表情をしているのか、どんなタイミングで笑ったり困ったりするのか、普段からアンテナを張っておくとネタがいっぱい見つかります。
たとえば、ある人は怒るときに手が震える癖があったり、照れ隠しでわざと強い言葉を使ったりする人もいます。
そういう「細かいクセ」を自分の演技に取り入れると、オリジナリティが増しつつリアルさもアップします。
日常生活の中で観察力を鍛えるコツをいくつか紹介します。
まず「人間観察ノート」を作りましょう。
街中や電車内で見かけた人の特徴的な仕草や表情を書き留めておきます。
たとえば「疲れた会社員がベンチに座るときの肩の落とし方」「恋人と電話する女性の表情の変化」など、具体的に記録します。
「感情の裏側を考える」習慣も大切です。
人の行動を見たとき、「なぜその人はそのような行動をとったのか」「どんな気持ちでいるのか」を想像してみましょう。
「異なる環境に身を置く」ことも効果的です。
普段行かないような場所や、接点のない人たちと交流する機会を作ることで、新たな発見があります。
自分も消防士など特殊な職業の役を演じるときに、実際にその職業の人に会いに行き、話を聞いたり一日密着したことがありますが、実際に肌で感じると全然違ってきます。
観察力は一朝一夕では身につきません。
でも日常的に意識することで、少しずつ鋭くなっていきます。
この「人間を見る目」が、リアルな演技を生み出す源になるので、ぜひ日頃から意識してみてください。
即興(インプロ)で反応力を磨く
即興演技(インプロビゼーション/インプロ)は、台本に頼らず、その場で生まれる状況や感情に反応する演技スタイルです。
初心者には少しハードルが高いように感じるかもしれませんが、この練習が演技力、特に「反応力」を高めるのに非常に効果的です。
その中でも「ワンワードインプロ」は初心者にもおすすめの練習法です。
相手の言葉に一言だけで反応し、会話を続けていくゲームです。
たとえば「こんにちは」→「久しぶり」→「元気?」というように、短い言葉でのやり取りを続けます。
「状況設定インプロ」も効果的です。
「雨の日のバス停で」「試験前の教室で」など、状況だけを決めて即興で演技する練習です。
台詞も行動も全て即興で生み出します。
「感情インプロ」は、与えられた感情を即座に表現する練習です。
「喜び」「悲しみ」「怒り」などの感情を指示されたら、すぐにその感情で演技します。
これは感情の切り替えを素早くするのに役立ちます。
インプロは「間違えること」や「失敗すること」を恐れずに挑戦することが大切です。
その場で何か状況が起きたときにどう返すかを考えるので、セリフを覚えなくてもいい反面、頭と身体がフル回転します。
思いがけない反応や展開こそが、演技の幅を広げる貴重な経験になります。
これを繰り返すと、本番の舞台や収録現場でもアドリブで上手く対応できるようになります。
演技クラスやワークショップに通うメリット
独学には限界があります。
限界を感じたら、演技レッスンやワークショップに参加するのがおすすめです。
プロの指導を直接受けることで、自分では気づかないクセや改善点を知ることができます。
また、同じ志を持つ仲間と出会えるのも大きいです。
切磋琢磨できる仲間がいると、練習にも熱が入ります。
俳優を目指すなら、映画監督や劇団が主催するワークショップやレッスンを調べてみましょう。
声優を目指すなら、声優養成所やオンライン講座なども充実しています。
学校やバイトとの両立は大変かもしれませんが、週1回でも通えれば得られるものは多いです。
初期費用はかかりますが、効率的に演技力を高めたいなら、演技レッスンやワークショップへの参加を検討してみるといいでしょう。
専門家の指導を受けるメリットは大きい
プロからのフィードバック
自分では気づかない癖や改善点を指摘してもらえます。
客観的な視点は成長に不可欠です。
仲間との切磋琢磨
同じ目標を持つ仲間と出会うことで、モチベーションが維持できます。
また、他の人の演技を見ることも大きな学びになります。
実践的な経験
本番さながらの環境で演技する機会が得られます。
舞台経験やカメラの前での演技など、実践的なスキルを身につけられるのは大きな強みです。
ネットワーキング
業界の人とのつながりができることも。
先生や先輩からオーディションの情報を得られることもあります。
まとめ:演技力を上げる方法は「人間を深く知ること」

練習と経験を重ねれば、誰でも演技は上達する
演技力は才能だけではなく、努力で伸ばせるスキルです。
もちろん天才肌の俳優や声優も存在しますが、多くの人は地道な練習と経験によって演技力を上げています。
毎日の小さな練習の積み重ねが、やがて大きな成長につながります。
最初は思うように演技ができなくても、諦めずに継続することが何よりも大切です。
演技力を上げたい人が今日からできること
今日から始められる具体的な方法を、もう一度整理してみましょう。
- 毎日10分の基礎トレーニング
(腹式呼吸・発声・早口言葉・感情表現・滑舌・ストレッチなど) - 観察する
人間の動きや言動を日常的にチェックする。
観察ノートをつける(日常の中の面白い瞬間をメモ) - 演技関連の本や舞台、映像を見る
優れた俳優の演技から学ぶ - 感情表現を練習する
鏡の前で感情を動かすトレーニングや、好きなアニメ・ドラマのシーンを再現する。 - セリフを覚えるだけでなく、その背景を考える
役の動機や気持ちを理解したうえでセリフを言う練習をする。 - インプロ(即興)や演技クラスで場数を踏む
仲間と即興芝居をしたり、レッスンに通って新しい刺激を受ける。
これらのどれか1つからでも始めてみてください。
小さな一歩が、大きな成長につながります。
演技力を上げる方法に近道はないけれど、確実に成長はできる
正直、演技力を上げるには「これだけやれば完璧」なんて近道はありません。
でも、正しい方向性で継続的に努力すれば、必ず成長できます。
大切なのは、失敗を恐れないこと。
演技の上達には「恥をかく勇気」が必要です。
最初は上手くいかなくても、そこから学び、次に活かしていく姿勢が重要です。
演技とは結局のところ、人間を深く理解し表現する芸術です。
自分自身の感情と向き合い、他者を観察し、想像力を働かせること。
その過程自体が、あなたを俳優・声優として、そして一人の人間として成長させてくれるでしょう。
演技の道のりは長く、時に険しいものです。
でも、その分だけ達成感も大きいはず。
一歩一歩、あなたなりのペースで進んでいってください。
きっと素晴らしい演技の世界が開けてくるはずです。