あなたは演技というとどんなイメージがありますか?
ドラマや映画の俳優、アニメやゲームで声だけで演じる声優など、いろいろな世界があると思います。
でも実は、俳優と声優に求められる基本の「演技スキル」は似ているところも多いです。
今回は、そんな俳優・声優に求められる演技の基本から応用までを紹介していきます。
演技の基本を知ろう

俳優・声優にとって「演技」とは?
演技と聞くと「演じる=ウソをつく」みたいな印象があるかもしれません。
でも実際は、役の気持ちや状況を本当らしく表現することが大事です。
いわば「本当の気持ちを借りてきて、それを自然に表に出す作業」といえます。
俳優は体ごと表現するし、声優は声だけの表現が主ですが、どちらも「いかにリアルに見せるか」という点は変わりません。
感情を伝える力とは?
感情を表現するとき、ただ大きな声を出せばいいわけではありません。
悲しいときに小さな声になる人もいるし、怒ったときに逆に静かになる人だっているからです。
ポイントは「自分ならどうするか?役ならどうするか?」を常に意識すること。
実際の現場では、どう演じるか迷ったときに監督や演出家が「この役は意外と怒っても声が小さいんだよ」といった指示を出すこともあります。
感情表現は、1パターンじゃないんです。
自然なセリフの話し方を身につける
台本に書いてあるセリフをそのまま言っても、なんだかカタコトっぽくなることがあります。
日常会話と違い、どうしても文章が整いすぎてしまうんですね。
そこで役者さんは、セリフを自分の言葉っぽくアレンジするときがあります。
といっても勝手に言い換えるわけではなくて、「区切る場所」や「強調する言葉」を少し変えるだけ。
そうすると一気に自然な話し方に近づきます。
他には、息継ぎのタイミングを工夫したりして、自然な表現に近づけたりもしますね。
体の動きと表現力の重要性
舞台や映像で活躍する俳優の場合、顔の表情だけでなく体全体を使った表現が重要です。
たとえばセリフがなくても、姿勢や歩き方、さらには後ろ姿だけでも「あ、あの人、落ち込んでるな」とわかることがあります。
声優でもアフレコ現場で体を大きく動かしながら演技する人も多いです。
声だけでも説得力を出すために、実際に体を動かし感情を乗せるわけです。
俳優・声優に必要なスキルとは?

発声・滑舌を鍛える方法
まず大前提として、声がちゃんと通ることが大切です。
早口になりやすい人は、まず鏡の前でゆっくり朗読してみるといいです。
口の開き方や舌の動きを意識することで「滑舌」が良くなります。
楽屋裏では「滑舌ドリル」みたいなものをやっている役者さんも少なくありません。
例えば「生麦生米生卵」を10回繰り返すなど、地道だけど効く練習が実は定番なんです。
感情表現を豊かにするトレーニング
感情表現を豊かにするには、普段の生活でいろんな感情を観察するのが近道です。
映画やドラマを観て「今のシーンのこの人、ちょっとイラついてるな」など、具体的に心の動きを読むようにするんです。
そしてその感情をマネしてみる。
ちょっと恥ずかしいかもしれませんが、家の鏡の前でやってみると意外に面白い発見があります。
状況に応じたリアクションの作り方
セリフよりむしろリアクションが大事なシーンは結構あります。
相手がしゃべってるときにどんな表情をするか、体がどんな動きをするかで、役の個性が出ます。
何もしゃべらなくても、目線1つで感情は伝わったりします。
舞台裏では「リアクション担当」みたいに呼ばれる役者さんもいて、その人がうまいことリアクションしてくれるおかげで、メインの人の演技がより映える…ということもあるんです。
相手との掛け合いをスムーズにするコツ
演技はやっぱり「相手あってのもの」です。
特に声優の場合はアフレコ現場で相手役とのタイミングをあわせるのが大変です。
でも実際に相手の声を聞きながら掛け合いができると、自然と「呼吸」が合ってきます。
裏ワザとして、相手のセリフの長さに合わせて自分の呼吸を調整する、なんてテクニックもあったりします。
表現の幅を広げるための練習法
いろんな役をこなせるようになるには、普段から自分の「表情筋」や「声の高さ・低さ」などを意識しておくといいです。
たとえば「いつもと違う声で自己紹介してみる」「怒ってるときにあえて明るい声を出す練習」など、極端な練習をしてみると新しい引き出しが増えます。
現場で「こんなキャラもできるのか!」と驚かれることもあるかもしれません。
応用力をつける演技スキル

キャラクターごとの演じ分けテクニック
一人で何役もこなす声優さんがいますが、そんなときはキャラの性格や年齢、口調を細かく分けて考えています。
例えば「子どものキャラ」は声の高さだけじゃなく、語尾を少し伸ばして話すとか、「お年寄りキャラ」は歩き方や息の吸い方から変えるなど、細かい部分が積み重なって違いが出ます。
シナリオ分析のコツ
台本を読みこんで、そのキャラがどんな人生を送ってきたのかを想像するのが「シナリオ分析」です。
メインキャラだけでなく、脇役でも大切な作業です。
分析をしっかりやると、セリフ回しや表情づくりに一貫性が生まれます。
たとえば「この人は幼少期に怖い思いをしたから、びっくりするときにすごく敏感になる」という背景を考えておくと、ちょっとした表情や声のトーンを変えられるのです。
映像演技と舞台演技の違い
映像はカメラが寄ってくるので、小さな表情の変化もはっきりと映ります。
逆に舞台は客席から見えるように大きな動きが必要です。
舞台で演じるときに映像のような細かい動きだけをやっても、客席からはわかりづらいことがあります。
自分の経験談ですが、初めて映像の仕事をしたとき、それまで舞台しか経験がなかったので「どんなに小声のシーンでも観客に聞こえなければならない」という前提で演じていました。
なので、映像の撮影でも同じように、小声のシーンでもスタッフや監督に聞こえる声量で無意識に話してしまいました。
すると、途中で撮影がストップし、監督から「マイクで音を拾っているんだから、俺たちに聞こえなくていいんだよ!小声って書いてあるんだから、小声でしゃべれよ!」と注意されたのをいまだに覚えています。
ベテラン俳優さんの中には舞台と映像の切り替えがうまい人がいて、リハーサルで「今日は舞台用にちょっと大きめに演じるね」と調整しているケースもあります。
声だけで演じる「声優」としてのポイント
声優は声だけで感情表現をしないといけません。
でも実際は表情も体の動きも全力で使っているんです。
マイクの前でガッツポーズを取りながらセリフを言ったり、走るシーンでは実際に小走りしながら収録したりする人もいます。
「声だけ」とはいえ、全身の動きが声のリアリティに直結するんですね。
収録中にぶつかって物音が入らないよう注意する必要があって、それは声優さんあるあるだったりします。
アドリブ力を鍛える方法
台本どおりにやるだけじゃなく、突然「ここのセリフ、ちょっと変えましょう」と言われることもあります。
そんなときにすぐ対応できるのがアドリブ力です。
日頃からいろんなシチュエーションを想定して、自分なりの「もしこうなったらこう返す」という引き出しを作っておくと強いです。
実はコメディ映画の現場だとアドリブシーンがうまくハマって、そのまま採用されるなんて話もけっこうあります。
俳優・声優として成長するために

毎日のトレーニング習慣
演技は筋トレのように、継続すればするほど力がつきます。
朝起きたら軽くストレッチしながら声出しをしてみる、夜寝る前に10分だけ台本を音読してみる…といった習慣が将来的に大きな差を生みます。
プロの中にはお風呂の中で滑舌練習する人もいるようで、お風呂場は声が響きやすいからちょっと楽しいんだとか。
実際のオーディションで求められること
オーディションでは「どんな役でもそれなりにこなせるか」「今までにないキャラを出せるか」が見られることが多いです。
でも一番大事なのは「この人に頼みたいな」と思わせる印象や人柄だったりもします。
台本どおり完璧に読めるだけより、ちょっと自分らしさを混ぜられる人が記憶に残りやすいです。
緊張するかもしれませんが、むしろその緊張感をエネルギーに変えるのが役者の醍醐味ともいえます。
プロとしての心構えと姿勢
プロになると、撮影や収録の時間はもちろん、待ち時間が長いこともよくあります。
そんなときでも常に役のことを考えて準備しておく姿勢が大切です。
待機中にスマホばかりいじっていて、いざ本番になって何もできない…なんて俳優もいます。
現場のスタッフさんや共演者への気配りも含めて、「この人と一緒に仕事がしたいな」と思わせる態度が重要です。
演技の勉強を続けるためのおすすめ方法
ワークショップや演劇スクールに通うのも良いですが、もっと手軽なのは「映画・ドラマ・アニメを観てまねする」ことです。
プロの演技を観察して「あ、この表情いいな」と思ったら自分でもやってみる。
声優を目指すならアニメを音だけで聞いて、声の使い方をよく聞いてまねしてみるのも効果的です。
お金をかけなくても、工夫次第で学ぶ方法はいっぱいあります。
【まとめ】俳優・声優に必要な演技スキルとは?

俳優と声優に求められる演技スキルは、声や体を使った表現力はもちろんですが、それよりも「いかに役になりきるか」という気持ちの面がとても大切です。
普段から声や表情、動きを観察し、まねしてみることが大きな一歩になります。
日々の地道なトレーニングや発想力が積み重なることで、演技の幅はどんどん広がっていきます。
ぜひ楽しみながら、自分の魅力を最大限に引き出す演技スキルを磨いてみてください。
きっと新しい世界が広がりますよ。