感情をしっかり出しているつもりなのに「浅い」って言われるのは、正直つらいですよね。
かと言って、激しく感情を表に出さないで静かな芝居をすると「伝わってない」と言われたりしてどうすればいいのかわからなくなる。
渋くて味わいがある演技って言葉ではよく聞くけど、じゃあ具体的に何をすればいいのか分からない…。
そんな悩みを抱えている人に向けて、「印象に残る演技」の本質について、自分の経験も含めてお話ししていこうと思います。
渋くて味わいがある演技とは何か

感情を爆発させるのが演技だと思っていた時期が僕にもありました。
って言うより、演技初心者はまず「感情開放」からレッスンすることが多いので、「感情を出す」ことが一番需要なことだと思いがちなんです。
でも、ただ感情を表に出せばいいというものではない。
これ、かなり大事なポイントです。
渋くて味わいがある演技は感情を大きく出すことではない
渋くて味わいがある演技って、感情を派手に爆発させる表現とは違うんですよね。
例えば、こんなシーンがあったとします。
憧れていた人がろくでなしな人間に変わっていくのを見て、その相手に向かって「いつまでもカッコよくいてくれよ」ってセリフを言う場面。
このとき、相手に対して「いつまでもカッコよくいてくれよ!!!」と、苛立ちや悔しい感情を激しくぶつける表現方法もあります。
これは表現としては派手だし、分かりやすい。
苛立ちと歯がゆい感情がハッキリ見える。
いや、言い換えると、苛立ちと悔しさだけがハッキリ見える。
これって実は、観る人が見れば、単純な表現すぎて「浅い」と捉えられることもあるんですよね。
❌「怒ってるシーン=強く言う。激しくぶつける。大きな声。」
これはイコールではないんです。
実際にこういう場面に直面したとき人間は、言葉にできない複雑な感情になることがあります。
憧れるほど大好きだった人が変わってしまった「怒り、悔しさ」
それと同時に、大好きだった人が変わってしまった「寂しさ。悲しさ。」
「頼むから、いつまでも変わらず大好きなあなたでいてほしい」という「願い」
こういう複雑な感情を抱えているかもしれない。
「怒りと悔しさ」を感じながらも、それ以上に「寂しさ。悲しさ。」の方が強いかもしれない。
または「変わらないでよ」という願いがもっとも強いかもしれない。
それを、ただ「怒りと悔しさ」をぶつけるだけの表現では「浅く」見えたりするんですよね。
むしろ、怒りや悔しさに任せて強い感情をぶつけるよりも、小さな声で「…いつまでもカッコよくいてくれよ」と、(頼むよ)という感情で、ボソッと「心の声」が漏れ出したかのように吐き出す。
もちろん、そこには「苛立ちと悔しさ」も含まれてる。
こうやって一つのセリフや演技の中に「複数の感情」が含まれていると、よりリアルだし深く感じます。
演じると聞くと難しく感じるかもしれませんが、こういう複雑な感情は、誰もが日常生活の中で経験したことがあるんじゃないでしょうか。
さらに、もっと言えば、その複雑な感情を「無言のまま」表情だけで表現することもできます。
「変わってしまった悲しさ」
「寂しさ」
「なんでだよ、という憤り」
「頼むよ、という願い」
そういう、なんとも言えない演技を見たとき。
観客や視聴者は、
「ああ、この人は色んな感情が渦巻いてるんだな」
「わかるな〜、こういうとき複雑だよね」
って感じ取れるんですよね。
で、そこに深みが生まれます。
そういう幅広い感情を同時に表現できる人が「深みがある渋い演技」をする俳優として評価されています。
または「建前」の裏に隠された「本音」を想像させることのできる俳優ですね。
なぜかと言うと、人間は誰しも、思っていること、感じていることを全て表に出すだけじゃないから。
実際の人間社会では、そういう人は「浅い」人間に見えてしまいますよね。
静かな演技でも深く伝わる人がいる理由

たとえばですけど、号泣して大粒の涙を流せば「悲しい」「泣いている」ということを伝えるのは簡単ですよね。
分かりやすいから。
でも、本当に悲しくて涙が込み上げてくるときって、号泣して涙を流す人ばっかりではないですよね。
「渋くて味わいがある演技をする俳優」と言われるような役者は、そういうストレートな表現はもちろんできるんですけど、それを「無言」で、しかも「背中」「後ろ姿」だけで表現できたりするんです。
そういう「無言で、背中で語る」ことができる俳優って、本当に深いんですよね。
実社会でも、きっとそういうことって多々あると思います。
本当に深く悲しいからこそ、泣きそうなのを悟られないように、グッと涙を堪えて、無言で、表情を見せないよう顔をそむける。
その無言の後ろ姿から逆に「悲しみの深さ」や「心の痛み」が強烈に伝わってくる。
そんなことってあると思います。
そういう「言葉以上に感じさせる(想像させる)」ことができる表現が「渋くて味わいがある演技」と言われるんです。
☝️ 静かな演技でも深く伝わる人が持っている武器
もちろん技術も大事です。
こういう役者たちが使いこなしている表現手段って、例えばこんなものがあります。
- 表情のわずかな変化
- 視線の動き(どこを見るか、目線を外すタイミングなど)
- タイミング(目線だけでなく、触れるタイミングなど)
- 間の取り方
- 呼吸のリズム
- 体の微妙な傾き
- 声のトーンの変化
言葉に頼らなくても、こういう繊細な要素を自在に使いこなせるから、派手に動かなくても観客の心に届く芝居ができるんですよね。
味のある演技と浅く見える演技の一番の違い
結局のところ、味のある演技と浅く見える演技の決定的な違いは「表現の選択肢の多さ」と「その選択肢の中で(どの表現を選ぶのか)という「技術」と「感性」」の両方にあります。
演技が浅く見える俳優の特徴は、大きく分けて以下の2つのパターンです。
1つは、表現方法が一択しかない。
感情を表すときに、いつも同じパターンでしか表現できない。
そもそも同じパターンの知識や技術しか持っていないのかもしれません。
怒りなら、怒鳴る、声を大きくするなど。
悲しみなら、泣く、塞ぎ込むなど。
喜びなら、笑う、はしゃぐなど。
そういうストレートな感情表現しか持ってないと、どうしても平面的な芝居になってしまいます。
もう1つは、知識として表現の選択肢はたくさん持っているのに、実際の現場では単調な表現しか選択できない。
「悲しみの表現方法」を10通り知っていても、いつも同じ1つの表現しか選べない。
知識はあるのに、使いこなせない。
これも浅い演技になってしまう原因です。
逆に、味のある演技というのは、さまざまな幅広い表現方法を持っていて、なおかつその場面、その役、その相手、その状況に応じて「今この瞬間にはこの表現が一番深みがある表現だ」と選べる「技術」と「感性」を持っていること。
この技術と感性があるからこそ、リアルにその瞬間の感情や思惑、考え、意思などを表現できるんです。
👉 人間って、実はこんなに複雑
日常生活の中で誰でも思い当たる節があると思うんですけど、人間って、言いたいことを全部口にするわけじゃないですよね。
- 空気を読んで「これは今は言わないほうがいいな」と判断して「言わない選択」をすることもある
- 言おうと思ったけど、言いたかったけど、ビビって言えなかった
- 別の人が話し始めて言えなくなった
口にする言葉だって同じです。
どうしても言いたくて口にした言葉もあれば、話の流れで調子に乗って「思わずポロッと言ってしまった言葉」もあるし、本当は言いたくなかったけど売り言葉に買い言葉で「本当は言うつもりじゃなかったのに勢いで言ってしまった言葉」もある。
すごい勢いで問い詰められて半分「言わされたような状況」の中で言ってしまった人もいる。
そういう人間の複雑さをどれだけ表現できるか。
これが味のある演技と浅く見える演技を分ける一番のポイントです。
なぜ感情を出しているのに演技が浅く見えてしまうのか

感情をちゃんと出してるつもりなのに「浅い」と言われる。
これには明確な理由があります。
問題は感情の熱量や強さじゃなくて、表現の幅です。
感情表現が一択しかないと芝居は薄く見える
感情を出しているのに浅く見えてしまう一番の原因は、表現のバリエーションが少ないこと。
怒りのシーンなら必ず怒鳴る、悲しいシーンなら必ず泣く、というように、感情と表現方法が一対一で固定されてしまっていると、どうしても単調で薄っぺらい芝居になってしまいます。
実際の人間は、もっと複雑ですからね。
怒りを感じていても、相手との関係性や状況によって表現の仕方は全然変わります。
親しい友人になら怒鳴ることもあるけど、上司に対しては言葉を選んで冷静に伝えようとするかもしれない。
あるいは、怒りすぎて逆に静かになることだってあります。
悲しみも同じ。
人前では平気な顔をして、一人になってから崩れることもあれば、悲しさを怒りに変えて暴れることだってあるかもしれない。
☝️ 表現の幅が狭い演技の特徴
| 状況 | いつも同じパターン | 本来はもっと選択肢がある |
|---|---|---|
| 怒りを感じた | 必ず怒鳴る | 静かに睨む、冷たく距離を置く、笑ってごまかす、など |
| 悲しみを感じた | 必ず泣く | 表情を消す、怒りに変える、無理に笑う、など |
| 喜びを感じた | 必ず笑う | 安堵のため息、静かに微笑む、涙ぐむ、など |
こういう感情表現の多様性を持ってないと、観る人には「この役者、いつも同じパターンだな」って見られてしまうんですよね。
言葉や涙で説明しすぎるとリアルさが消える
感情を出しているのに浅く見えるもう一つの理由は「説明しすぎ」です。
セリフで全部説明してしまう。
涙で悲しさを説明してしまう。
表情で必死に「今こういう気持ちです!」とアピールしてしまう。
でも実際の人間って、そんなに分かりやすく感情を表に出さないことのほうが多いですよね。
例えば、大切な人を失った直後のシーン。
その場で号泣するのも一つの表現ですけど、現実には「まだ実感が湧かなくて、ぼんやりしている」とか「信じられなくて、何度も確認してしまう」とか「日常の動作を機械的に続けてしまう」なんていう反応もあります。
むしろそういう「感情を直接見せない瞬間」のほうが、観ている人の想像力を刺激して、深く伝わることも多いんです。
☝️ 説明しすぎる演技と余白のある演技の違い
説明しすぎる演技は、観客に想像する余地を与えません。
「はい、今悲しいです」
「はい、今怒ってます」
と、全部見せてしまう。
でも余白のある演技は、観客が自分で感じ取る楽しみを残します。
「あの表情、もしかして悲しいのを堪えてる?」
「あの沈黙、怒りを抑えてるのかな?」
と、想像させる。
この「観客に想像させる」っていうのが、実は演技の深みを生み出す大事なポイントでもあります。
現実の人間は本音を全部外に出さない

これが一番大事なところなので何度も言いますけど、現実の人間は本音を全部外に出したりしません。
むしろ、本音を隠そうとしたり、違う感情で覆い隠そうとしたり、自分でも気づかないうちに抑え込んでいたりします。
☝️ 現実でよくある「本音を隠す瞬間」
- 本当は傷ついているのに、平気なフリをする
- 本当は嬉しいのに、クールに装う
- 本当は怒っているのに、笑顔で対応する
- 本当は悲しいのに、強がって見せる
- 本当は不安なのに、自信があるように振る舞う
こういう「本音と表に出す感情のズレ」を表現できると、演技に深みが増します。
例えば、大事な試験に落ちたことを友達に報告するシーン。
「全然平気だよ」って笑いながら言うけど、その笑顔がどこか引きつっていたり、視線が泳いでいたり。
そういう「言葉と本音のズレ」を表現できると、観ている人は「ああ、頑張って気丈に振る舞ってるけど、本当はめちゃくちゃ動揺してるんだろうな。落ち込んでるんだろうな」と感じ取れるんです。
全部をセリフで説明する必要はない。
むしろ、言葉にしないことで伝わるものがあるんですよね。
渋くて味わいがある演技を身につけるために必要な視点

ここまで「渋くて味わいがある演技」がどういうものかを話してきました。
じゃあ実際にどうすればそういう演技ができるようになるのか。
具体的な視点を再確認していきます。
間や無言で感情を伝えるという選択肢
渋みのある演技を身につける上で、まず意識してほしいのが「間」と「無言」の使い方です。
他にも大事なことはたくさんありますけど、初期段階として「間」と「無言」から意識してみてください。
セリフを言うことだけが演技じゃない。
むしろ、セリフとセリフの間にある沈黙や、何も言わない時間にこそ、深い感情を込めることができます。
セリフを言うときの「間」の取り方で表現が大きく変わってきます。
相手のセリフが終わらないうちに被せてセリフを言う。
相手のセリフを聞いて自然なタイミングで返答する。
相手のセリフを聞いてしっかり考えてから言葉をしぼり出す。
これだけでも受ける印象は違います。
👉 間の使い方が巧みな俳優の特徴
セリフの合間の沈黙や、微妙な表情の変化に絶妙な感情を込めることで、言葉がなくても、いや言葉以上の深い感情や思考、思惑を表現できます。
例えば、誰かに謝罪を求められたシーン。
すぐに「ごめん」と言うのと、数秒の沈黙の後に「…ごめん」と言うのでは、全然印象が違いますよね。
その数秒の間に、何を考えていたのか。
謝るべきか迷っていたのか、言葉を選んでいたのか、感情を整理していたのか。
観ている人は、その「間」から色んなことを想像します。
👉 無言で伝える力
無言のシーンって、実は一番難しいんです。
でも、だからこそ力(インパクト)がある。
たとえば、電車の中で、誰かにムカついたことがあったとします。
もちろん、直接その相手に感情をぶつけることもできますが、ただ顔を背けて、あえて無言で「反応しない」という選択をとることもできます。
その、何も言わない態度こそが、大きな「怒り」の表現になる場合もあるんですよね。
「無言」を貫くのには、いろんな理由や考えがあると思います。
・トラブルになるのを避けたい
・自分の時間や気分を台無しにされたくない
・関わると自分の身が危ないから
・周りから「変な奴」と思われたくない
・言い返すだけエネルギーの無駄だから
・怒鳴り合いを見せる恥をかきたくない
・自分の「品格」を落としたくない
・自分が「大人」でありたい
・相手と同じ土俵に立ちたくない
などなど。
無言の演技の中で、こういった考えを見せる(想像させる)ことができると、表現の幅も広がり「演技も深く」なります。
芝居(動作)も同じ。
・無言で椅子に座る。
・無言で窓の外を見る。
・無言で背中を向ける。
そういう動作一つ一つに感情や思考を込められると、セリフで説明するよりも深く伝わることがあるんです。
👉 間や無言を使う練習方法
じゃあ実際にどう練習すればいいのか。
これは意外と簡単です。
普段の台本稽古で、自分のセリフの前に「あえて2秒待ってから言う」とか「このセリフの後、3秒黙ってから次の動作に移る」とか、意識的に間を作ってみるとわかりやすいし発見も多いはずです。
もちろん「間」をあける「根拠」も考えた上で、です。
「このとき、相手のセリフを聞いてこんな風に感じて、こんなことを考えたはずだから2秒は間があくよな」って感じで。
最初は変な感じがするかもしれません。
でも、その間に何を感じているかを考えながらやってみると、不思議と演技に深みが出てきます。
表情や後ろ姿が語る演技の強さ

次に意識してほしいのが、言葉に頼らない身体表現です。
特に「表情」と「後ろ姿」。
👉 表情で語る演技
表情って、すごく細かいニュアンスを表現できるんです。
- 目だけ笑っていない笑顔
- 唇を噛みしめる仕草
- わずかに眉をひそめる動き
- 視線をそらすタイミング
- まばたきの回数や速さ
- 奥歯を強く噛む(映像作品では十分効果あり)
こういう微妙な変化が、キャラクターの内面を雄弁に語ります。
例えば、嫌いな人と話さなきゃいけないシーン。
笑顔で「久しぶり」って言うけど、その笑顔が目まで届いていない。
視線も相手の顔じゃなくて、ちょっと横を見ている。
そういう細かい表情の作り方で「本当は会いたくなかったんだな」「あれ?あんまり好意を持ってないのかな」ってことが伝わります。
👉 後ろ姿が語る演技の深さ
個人的に、後ろ姿(背中)の演技って、俳優の実力が一番出る部分だと思ってます。
顔が見えないから、表情で説明できない。
セリフもない。
じゃあ何で表現するか。
背中、肩の落ち方、姿勢、歩き方、立ち止まり方。
そういうもので全部を語らなきゃいけない。
内面がしっかり作り込めていないと、体全体で表現するのは難しいです。
👉 後ろ姿で表現できること
- 肩を落として歩く → 落ち込んでいる
- 背筋を伸ばして立つ → 決意を固めた
- 足取りが重い → 何かを恐れている
- 急に立ち止まる → 何かに気づいた、迷いが生じた
- ゆっくり振り返る → 覚悟を決めた
悲しいシーンで、カメラに背中を向けて、肩を小刻みに震わせる。
顔は見えないけど、泣いているのが分かる。
いや、顔が見えないからこそ、その悲しみの深さが痛いほど伝わってくる。
そういう演技ができる俳優は、本当に深いです。
👉 内面から滲み出る表現
表情や後ろ姿で語るっていうのは、テクニックだけじゃできません。
本当にその役の気持ちになって、内面から感情が滲み出てくるような状態を作らないといけない。
これは「内面から滲み出る表現」と言われるもので、感情を大げさに表現するだけじゃなくて、表情や声のトーン、視線などで役柄の複雑な心情を表現し、観客に想像させる余地を与える演技のことです。
渋くて味わいがある演技とは幅広い表現ができること(まとめ)

ここまで色々話してきましたけど、結局「渋くて味わいがある演技」が何なのかをまとめます。
それは、実際の人間のように複雑な感情を幅広く表現できる演技のこと。
人間は、一つの感情だけを感じてるわけじゃないですよね。
悲しい気持ちの中に悔しさや、怒りもあるかもしれない。
嬉しい気持ちの中に安堵感や、逆に不安もあるかもしれない。
わかりやすい例えで言うと、
大親友の成功を心の底から喜び、嬉しく思う気持ちと、どこか嫉妬をしてしまって複雑な感情が湧くようなときが誰にでもありますよね。
日常の中でも、そういう色んな気持ちが同時に混ざってることが多々あります。
だから「渋くて味わいがある演技」をするために大事なのは、この2つです。
1. 幅広い感情を見せること
一つの場面で、一つの感情だけじゃなく、複数の感情を同時に表現する。
怒りだけじゃなく、その裏にある悲しみや願いも見せる。
2. 振り幅の広い感情の出し方ができること
感情を大きく出すだけじゃなく、間や無言で伝えたり、セリフで説明するだけじゃなく表情や後ろ姿で語ったり、本音を全部出すんじゃなく建前の裏に隠したり。
色んな方法で感情を表現できる。
この2つを意識して訓練することで、その場面、その役、その相手、その状況に応じて「今この瞬間に、一番深くて効果的な、リアル表現」が選べる技術と感性が身についていきます。
そういう演技が「渋くて味わいがある演技」なんです。
💡 振り幅の広い表現ができる俳優の特徴
味のある演技ができる俳優に共通するポイントを最後にまとめます。
1. 間の使い方が巧み
セリフの合間の沈黙や、微妙な表情の変化に絶妙な感情を込めることで、言葉がなくても言葉以上の深い感情を表現できる。
2. 内面から滲み出る表現ができる
感情を大げさに表現するだけではなく、表情や声のトーン、視線などでキャラクターの複雑な心情を表現し、観客に想像させる余地を与える。
3. まるで本当に生きているかのような存在感がある
お芝居というのはあくまでもフィクションの世界。
でも「渋くて味わいがある演技」をする人は、まるで生まれてからの人生を全てリアルに背負っているような、本当に描かれたままの人生を送ってきた実際の人間がそこにいるような、ある意味ノンフィクションの実話を見ているかのような圧倒的なリアルな存在感があります。
4. 生々しいリアリティを持っている
リアルな存在感にもつながるけど、フィクションな表現ではなく、まるで実生活にいるかのような自然体で、人間味あふれる演技(生っぽい演技)が魅力です。
最後に
「渋くて味わいがある演技」を目指すなら、まず人間の感情の複雑さをよく観察することから始めてみてください。
電車の中で、カフェで、街中で。
人は本音を全部外に出さない。
悲しくても笑うことがあるし、嬉しくてもクールに装うこともある。
怒りを感じても、相手や状況によって全然違う反応をする。
一つの出来事に対して、色んな感情が同時に混ざってる。
そういう人間の感情の複雑さをよく観察して、それを「幅広い感情を見せること」と「振り幅の広い感情の出し方」で表現できるようになったとき、あなたの芝居は確実に深みを増しているはずです。
感情を大きく出すことだけが演技じゃない。
静かでも伝わる、むしろ静かだからこそ深く伝わる表現もある。
そのことを忘れずに、これからも役者として成長していってください。


