ミュージカル俳優になりたいけど、養成所は入所金だけで何十万もかかるし、専門学校だともっとだし、いきなり通うのはちょっと怖い。
そんな気持ち、よくわかります。
僕の場合は、出演したミュージカルの舞台で「歌唱指導」で入っていた先生の指導方法が自分にすごく合っていたので、お願いして個人レッスンを受けるようになりました。
でも、そういう繋がりがなければ、どこでレッスンを受ければいいのか迷いますよね。
東京にはボイトレスクールがたくさんあるけど、どこがミュージカル向きなのか正直わからないですしね。
なので、今回は、ミュージカル専門コースや舞台向けコースがあるボイトレスクールを9つ紹介します。
養成所や専門学校に入るのが現実的ではなくても、ボイトレスクールで十分スキルアップできるので、最初の入口として知っておくと安心です。
ミュージカルをやりたい人がボイトレスクール選びで失敗する理由
ミュージカルをやりたくてボイトレを始めたのに、半年後に「なんか違う…」って気づく人、実はめちゃくちゃ多いです。
ミュージカル向けじゃないボイトレを選ぶと起きること
普通のボイトレとミュージカル向けのボイトレって、実は全然違います。
たとえば、J-POPやR&B向けのレッスンとは、マイクの歌い方や声の出し方が違います。
ミュージカルって本番では基本的にヘッドセットマイクをつけますけど、それでも意識的には生声で劇場の後ろまで声を届けるくらいの圧倒感がないといけない。
だから発声の仕方が根本的に違うんですよね。
僕が芸能スクールで講師をしていた頃に、ポップス系のボイトレを1年やってからスクールに来た生徒さんがいたんです。
その子、歌はうまいんですけど、舞台で歌うと声が届かない。
しかもセリフと歌を切り替えるのがうまくできなくて、すごく苦労してました。
ミュージカルでは、セリフの延長で歌に入ることも多いし、踊りながら歌うこともある。
だから、ただ歌がうまいだけじゃうまくいかないことも多いんですよね。
東京はスクールが多すぎて迷いやすい
東京には本当にたくさんのボイトレスクールがあります。
渋谷、新宿、池袋あたりを歩けば、看板だけでも10や20じゃ済まないくらい。
ネットで調べても「おすすめボイトレスクール50選！」みたいな記事も多くて、結局どこがいいのかわからない。
しかも、ほとんどのスクールが「ミュージカルにも対応！」って書いてあるから、余計に混乱するんですよね。
でも実際には、ミュージカル専門のコースがあるスクールってそんなに多くありません。
「対応できます」と「専門コースがある」では、レッスンの質が全然違います。
ミュージカル向きのボイトレかどうかを見分けるポイント
スクール選びで失敗しないために、ここだけは押さえておいてほしいポイントがあります。
ミュージカルボイトレと普通のボイトレの違い
ミュージカル向けのボイトレには、いくつか特徴があります。
💡 発声の基礎が違う
ミュージカルでは、マイクなしでも声が劇場全体に響くように、腹式呼吸と共鳴を使った発声を学びます。
ポップスのボイトレだと、マイクで拾いやすい声を作ることが多いので、ここが大きく違うんです。
演技と歌の融合
ミュージカルって、ただ歌えばいいわけじゃない。
役の感情を込めながら歌う必要がある。
ミュージカルでは歌も「セリフ」ですからね。
だから、演技指導（表現力）も含まれているスクールを選ぶのが理想です。
ダンスとの両立
踊りながら歌うって、本当に大変です。
見てるのと、やるのでは大違い。
息が上がった状態でも安定した声を出せるように、体の使い方から呼吸法まで学ぶ必要があります。
初心者でも安心できるレッスン内容
「基礎がないから不安…」って思ってる人、安心してください。
ミュージカル向けのスクールは、むしろ初心者を前提にカリキュラムを組んでいるところが多いです。
そもそも上級者になってくると、スクールではなくて個人レッスンを受けてる人が多いです。（ちょっと高額ですけど、笑）
とにかくスクールでは、基礎的な腹式呼吸の練習から始めて、少しずつステップアップしていく感じです。
初心者向けのレッスンでチェックしたいのは、以下のポイントです。
- 発声の基礎から丁寧に教えてくれるか
- 個人のレベルに合わせてくれるか
- 質問しやすい雰囲気があるか
- 体験レッスンがあるか
個人レッスンが合う人・合わない人
ボイトレスクールには、だいたいマンツーマンの個人レッスンとグループレッスンがあります。
個人レッスンが合う人
- 自分のペースでじっくり学びたい
- 苦手な部分を集中的に直したい
- 人前で歌うのがまだ恥ずかしい
- オーディション対策など、具体的な目標がある
グループレッスンが合う人
- 仲間と一緒に頑張りたい
- 他の人の歌を聞いて学びたい
- レッスン費用を抑えたい
- 舞台の集団シーンに慣れたい
最初は人前で声を出すことや歌うことに、照れを感じる人も多いので、個人的には、個人レッスンで基礎を固めて、ある程度できるようになったらグループレッスンも併用するのがおすすめです。
あえてグループレッスンを併用するのは「人前で歌う」感覚を磨くためです。
これは本番の舞台でもありがちなんですけど、誰かの前で歌うってなった途端に「上手く歌おう」とか「すごいって言わせたい」みたいな欲が出て、逆にいつも通り歌えなくて勝手に沈没する人も多いんです。
まあ、僕ですけど、笑
なので、あえてグループレッスンを併用して「人前で歌う」ことに慣らすのも大事だと個人的には思ってます。
劇団四季や東宝ミュージカルを目指す人の考え方
本格的に劇団四季や東宝ミュージカルを目指すなら、最終的には専門の養成所（劇団四季では研究所）や専門学校、またはオーディションを受けることになります。
でも、いきなり養成所に入るのってハードルが高いですよね。
入所金だけで20万〜50万かかるところもあるし、専門学校ならもっと高くなります。
それでもし自分に合わなかったらって考えると怖い。ですよね。
その点、ボイトレスクールなら、入会金は高くても1万〜3万円程度、月謝も1万〜2万円くらいで始められます。
しかも、合わなかったらすぐ辞められる。
本格的にオーディションを受けたり養成所に入る前のステップとして、まずはボイトレスクールのミュージカル専門コースで基礎を固めるのが現実的だと思います。
🎤 ミュージカル専門コースや舞台向けレッスンがあるボイトレスクール
それでは、ミュージカル向けのレッスンがあるスクールを紹介していきます。
アバロンミュージックスクール（ミュージカルコース）
新宿、渋谷、池袋などに校舎があるアバロンミュージックスクールは、元劇団四季女優が講師を務めるミュージカルコースがあります。
講師の荒井香織氏は劇団四季で『オペラ座の怪人』メグ・ジリー役、『CATS』シラバブ役などを演じた実績を持ち、基礎練習からミュージカル曲の歌い方まで指導。
正しい発声法、セリフ、役作り、舞台での動き方など、ミュージカル俳優に必要なスキルを総合的に学べます。
福岡天神校には元宝塚歌劇団の講師も在籍しており、プロの舞台経験者から直接学べる環境です。
プロ用機器でのレコーディングレッスンもあり、自分の歌声を客観的に分析しながら成長できます。
発表ライブも定期開催されており、舞台経験を積む機会も豊富です。
料金は60分レッスンで月2回12,980円（税込）から。
高校生以下は10%割引があります。
Beeボイトレスクール（舞台・俳優コース）
新宿、渋谷、池袋、赤羽など都内に6校舎あるBeeミュージックスクールは、舞台・俳優コースがあります。
このスクールのいいところは、完全マンツーマンで自分のレベルに合わせてくれるところ。
初心者でも、経験者でも、それぞれに合ったレッスンを組んでくれます。
講師陣も、実際にミュージカル舞台に立っている現役の人が多いので、リアルな話が聞けるのも魅力です。
発声だけじゃなくて、オーディションの受け方とか、舞台での立ち振る舞いまで教えてもらえます。
料金は1レッスン60分で5,918円から。
フレキシブルタイム制だから、仕事や学校と両立しやすいのもポイントです。
WACCA MUSIC SCHOOL（プロミュージカルレッスン）
銀座と東京駅前にあるWACCA MUSIC SCHOOLは、プロミュージカルレッスンとミュージカルレッスンがあります。
劇団四季「ノートルダムの鐘」出演俳優や東宝芸能所属の現役ミュージカル俳優が講師で、歌・演技・ダンスの3つをすべてマンツーマンで学べます。
劇団四季独自の呼吸法・母音法・フレージング法から、東宝やホリプロ、2.5次元ミュージカルなど、目指す舞台に合わせた発声方法を具体的に教えてくれる最強の環境ですね。
オーディション対策も充実していて、選曲、音源資料作成、プロフィール写真、面接準備まで総合的にサポート。
劇団や芸能プロダクションと生徒のプロフィールを定期的に共有するシステムがあって、オーディション以外でもプロダクションに自分の存在をアピールできます。
実際に「エリザベート」「アナと雪の女王」「ライオンキング」などへの出演実績もあって、東宝・アミューズ・ホリプロなど大手プロダクションへの所属者も輩出しています。
料金は月2回で税込12,760円から。
レ・ミゼラブルやライオンキングなど1000曲を超えるミュージカル楽譜・音源も用意されています。
椿音楽教室（ミュージカルコース）
椿音楽教室は、全国200か所以上のスタジオでレッスンが受けられるのが特徴です。
自分の家や職場の近くのスタジオを選べるから、通いやすさは抜群。
毎回違うスタジオでもOKなので、予定に合わせて柔軟に調整できます。
ミュージカルコースでは、発声から演技まで幅広く学べます。
講師の先生も、音大出身者や舞台経験者が中心で、本格的なレッスンが受けられると評判です。
月1回から始められるので、まずはお試しで…っていう人にもおすすめ。
料金は月1回（1時間）で6,900円、月2回（2時間）で12,800円ですが、別途スタジオレンタル料（1回1,000円〜2,000円程度）が必要です。
EYS音楽教室（ミュージカル）
銀座、新宿、渋谷など都内に複数校舎があるEYS音楽教室には、ミュージカルコースがあります。
ミュージカルコースでは、腹式呼吸を使った発声から、音程・リズムの基礎、そして高音域の開発まで、段階的にトレーニング。
ビギナー向け、中級者向け、プロ志望向けと3つのカリキュラムが用意されており、自分のレベルに合わせてスタートできます。
プロ志望向けカリキュラムでは、地声と裏声の切り替えや声量コントロール、曲の表現力まで、舞台で必要とされる実践的なスキルを1年間かけて習得します。
料金はスタジオによって異なりますが、月2回のレッスンで11,180円〜から。
養成所に通うより初期費用を抑えて、本格的なミュージカルトレーニングを始められます。
ナユタスボイトレスクール（舞台・ミュージカルコース）
ナユタスの舞台・ミュージカルコースは、劇団四季や東宝のオーディション対策まで行ってくれます。
ミュージカル発声の基礎となる「呼吸法」「母音法」（言葉を綺麗に聞かせる技術）、「フレージング法」（適切な言葉の区切り）など、舞台やミュージカルで基本となる発声をプロ講師が指導。
喉の使い方から、声をはっきり響かせるテクニックまで、段階的にトレーニングします。
歌とダンスの同時受講も可能で、追加料金なし。
マンツーマンレッスンなので、ミュージカルに必要な総合力を自分のペースで伸ばせます。
1日1時間の自習スペースも無料開放されており、大きな声が出せない自宅環境でも、しっかり練習を積み重ねられます。
料金は月2回で税込13,200円、月3回で18,150円から。
中学生以下は割引料金があります
ZIGZAG MUSIC SCHOOL（プロミュージカルレッスン）
吉祥寺にあるZIGZAG MUSIC SCHOOLは、プロミュージカルレッスンとミュージカルレッスンがあります。
このスクールのいいところは、講師が元劇団四季や東宝芸能所属の現役舞台俳優やミュージカル出演者であること。
現場のリアルな話を聞けるし、業界のつながりもあるから、オーディション情報なんかも教えてもらえたりします。
レッスン内容も実践的で、台本を使った演技指導や、舞台を想定した歌唱練習ができます。
ダンスもマンツーマンで学べるので、歌とダンスをトータルでスキルアップできます。
料金は月2回で11,600円（税込12,760円）から。
マンツーマンレッスンだから、自分の苦手な部分を集中的に練習できます。
DECO MUSIC SCHOOL（プロミュージカルレッスン）
立川にあるDECO MUSIC SCHOOLは、プロミュージカルレッスンとミュージカルレッスンがあります。
こちらも元劇団四季や東宝芸能所属の講師など、現役で活躍するミュージカル講師が多数在籍しています。
マンツーマンレッスンなので、歌・演技・ダンスを基礎から丁寧に学べます。
プロダクションとのつながりもあり、オーディション対策やミュージカルワークショップなど、実践的な経験を積める環境が整っています。
料金は月2回で11,600円（税込12,760円）から。
体験レッスンも無料でやっているので、まずは雰囲気を確かめてみるのがいいと思います。
NOPPO MUSIC SCHOOL（プロミュージカルレッスン）
大宮（埼玉）にあるNOPPO MUSIC SCHOOLも、プロミュージカルレッスンとミュージカルレッスンがあります。
大宮駅は東京駅から約30分、新宿駅からも約30分とアクセスが良く、都内から通いやすい立地です。
担当制のマンツーマンレッスンで、歌・演技・ダンスを総合的に学べます。
特徴的なのは、歌とダンスを月回数の中で自由に組み合わせられること。
例えば月4回なら、歌2回・ダンス2回のように自分で配分を決められます。
劇団四季や東宝など、目指す舞台に合わせた発声方法を具体的に指導。
ミュージカルワークショップも定期開催されており、プロミュージカルレッスン受講生は無料で参加できます。
料金は月2回で11,600円（税込12,760円）から。
マンツーマンレッスンだから、自分の課題に集中的に取り組めます。
ミュージカル向きのボイトレスクール選びのまとめ
さて、ここまで9つのスクールを紹介してきました。
最後に、失敗しないために覚えておいてほしいことをまとめます。
失敗しないために覚えておくこと
💡 まずは体験レッスンを受けること
どんなにネットで調べても、実際に行ってみないとわからないことってたくさんあります。
講師との相性、スタジオの雰囲気、通いやすさ。
これは体験してみないと判断できません。
無料か格安で体験レッスンをやっているスクールがあれば、気になったところは2〜3か所試してみるのがおすすめです。
比較すると、自分に合うところが見えてきます。
💡 ミュージカル専門コースがあるかを確認する
繰り返しになりますが、「ミュージカルにも対応できます」と「ミュージカル専門コースがあります」は全然違います。
専門コースがあるということは、それだけカリキュラムがしっかり組まれているし、講師もミュージカルに精通しているということ。
ホームページを見るときは、ここをしっかりチェックしてください。
💡 養成所との違いを理解しておく
ボイトレスクールと養成所は、目的が少し違います。
養成所は、プロになるための総合的な基礎を訓練する場所。
演技、ダンス、歌、すべてを高いレベルで学びます。
その代わり、入所のハードルも費用も高い。
ボイトレスクールは、表現力を含めた歌唱力を磨く場所。
もちろん、呼吸や発声方法の基礎から学べます。
月単位の費用なので、気軽に始められるし、辞めるのも自由。
養成所に入る前のステップとして、またはオーディションまでのスキルアップとして使うのが賢い選択だと思います。
実際、僕が講師をしていた専門学校でも、入学前にボイトレに通っていた学生のほうが、発声の基礎ができていて伸びが早かったです。
💡 続けられる環境を選ぶこと
どんなにいいスクールでも、続けられなければ意味がありません。
場所、時間、料金。
この3つが自分の生活に合っているかどうか、ちゃんと考えてください。
通うのに1時間以上かかるとか、レッスン料が生活を圧迫するとか、そういう無理は続きません。
週1回でも、月2回でもいいんです。
細く長く続けられるほうが、結果的には成長します。
💡 焦らないこと
ミュージカル俳優になりたい気持ちが本気であればあるほど、早く結果を出したいと焦る気持ちはわかります。
でも、声や歌って、すぐに劇的に変わるものじゃないんです。
僕自身、ミュージカルに出演しながらも歌が得意な方ではなかったので、周りと比べて焦ってばかりいました。
でも今思えば、焦ってばっかりで空回りしてたなと思います。
焦るよりも、着実に、確実にコツコツと続けること。
ミュージカルの世界では、日々の自主トレや練習が本当に大事です。
もちろん舞台での経験が一番勉強にはなるんですけど、日々の小さな積み重ねで大きな差がつきます。
声や歌は、訓練すればするほど確実に磨かれていきます。
1年後、2年後の自分を信じて、今できることからコツコツ始めてみてください。
💡 夢を夢のままで終わらせない
ミュージカル俳優になりたいと思いながら、何もしないのはもったいないです。
もったいないというより、自分から可能性を壊しているようなものです。
養成所や専門学校は確かに高額だし、いきなり通うのは現実的じゃないかもしれない。
でも、ボイトレスクールなら月1万円くらいから始められます。
飲み会を1〜2回我慢すれば捻出できる金額です。
大事なのは、完璧な環境が整ってから始めるんじゃなくて、今できる範囲で一歩踏み出すこと。
その一歩が、将来の自分を作ります。
そこから、あなたのミュージカル俳優への道が始まります。
