歌って、踊って、芝居して。
ミュージカルの世界に足を踏み入れたいと思ったとき、一番先に浮かぶのって「どうやってそこに行けるのか」じゃないでしょうか。
スクールに通う?養成所に入る?それとも、いきなりオーディション?
選択肢が多いからこそ、迷うのが当然です。
この記事では、「ミュージカル俳優になるには?」の答えを、実際に目指している人たちの現状も含めて、順を追って整理していきます。
ミュージカル俳優になるには?基本の流れと準備

「やりたい気持ち」はある。
でも“どこから手をつけたらいいか分からない”が一番多い声です。
俳優を目指す道に「これが正解!」はありませんが、いくつかのパターンは存在します。
自分に合ったルートを見つけやすくするために、まずは基本の流れから整理してみましょう。
ミュージカル俳優のデビューまでの一般的なステップ
実際にプロとして舞台に立つまでには、大まかに以下のような流れがあります。
◎よくあるステップの一例
- 養成所・スクールや学校で基礎スキルを身につける
- オーディションを受ける(劇団・作品・プロダクションなど)
- 合格すれば稽古に参加、本番の舞台へ
もちろん例外もありますが、「基礎レッスン→オーディション→舞台」という基本の流れはほぼ共通です。
たとえば劇団四季などでも、いきなり劇団員になるのではなく「研究所」でのレッスンを経て劇団員へステップアップするというのが流れです。
1年間、劇団四季の研究生として、カリキュラムに沿ってさまざまなレッスンを受講していただきます(入所金・レッスン料等は不要)。
歌唱・台詞・ダンスの技術を高めると同時に、劇団四季の方法論、舞台人としての姿勢を学んでいただきます。
翌年3月頃には1年間の集大成として最終試験を実施します。
日頃のレッスンへの取り組みや成長度、試験結果を基に最終的な判断を行い、合格された方は正式に劇団のメンバーとなります。
📎 参考:
👉 劇団四季 研究所募集要項
学校・養成所・劇団に通う場合の選択肢と違い

「どこで学ぶか」は、人生の数年を預ける大きな選択になります。
それぞれに特色と向き不向きがあるので、目的や生活スタイルに合わせて選ぶのがコツです。
| 選択肢 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 音楽大学 | 歌唱中心、クラシック寄りの教育 | 歌を極めたい人 |
| 専門学校 | 歌・ダンス・演技をバランスよく学べる | 幅広く挑戦したい人 |
| 劇団の養成所 | 実践重視、即戦力育成型 | 現場経験を早く積みたい人 |
📎 参考:
👉 日本芸術専門学校ミュージカル学科シラバス
独学やオーディションからプロを目指す進み方
「学費がキツい」「今から学校に通うのは難しい」という人にも道はあります。
レッスンやワークショップを活用して、自主的に学びながらオーディションを受ける方法です。
●独学ルートでできること
- ダンススタジオのオープンクラスに通う
- ボイトレの個人レッスンを受ける
- ワークショップで演技を実践する
- 地元の舞台や市民ミュージカルに出演する
最近では、「ミュージカルに特化したボイトレスクール」という選択肢も増えています。
これらは入学金が不要(または安い)だったり、月単位で通えるのが特長。
時間的・金銭的な負担が少ない分、「とりあえずやってみる」にはぴったりです。

たとえば:
●ミュージカル志望におすすめのボイトレスクール3選
| スクール名 | 公式サイトURL | 特徴 |
|---|---|---|
| アバロンミュージックスクール (ミュージカルコース) | 公式サイト | ・入学金ゼロ&月謝制で始めやすい・プロ指導&レコーディング体験も可能・全国に校舎あり&オンライン対応もOK |
| Beeボイストレーニングスクール (舞台・俳優コース) | 公式サイト | ・発声〜演技まで個別指導で対応・都度予約OK、仕事や学業と両立しやすい・初心者〜プロ志望まで柔軟に対応 |
| ナユタス(NAYUTAS) (舞台・ミュージカルコース) | 公式サイト | ・舞台俳優を目指す専用カリキュラム・全スクール駅チカ&全国展開・入会金無料キャンペーンあり(時期による) |
| WACCA MUSIC SCHOOL(銀座) (プロミュージカルレッスン) | 公式サイト | ・銀座駅から徒歩圏の立地・プロの舞台経験者による直接指導・初心者でも安心の基礎〜実践レッスン |
| ZIGZAG MUSIC SCHOOL(吉祥寺) (プロミュージカルレッスン) | 公式サイト | ・吉祥寺駅近くで通いやすい・ミュージカル発声に特化したカリキュラム・子ども〜大人まで幅広く対応 |
| DECO MUSIC SCHOOL(立川) (プロミュージカルレッスン) | 公式サイト | ・立川駅徒歩3分の好アクセス・舞台で映える声の出し方を徹底指導・オーダーメイドの個別レッスン制 |
| NOPPO MUSIC SCHOOL(大宮) (プロミュージカルレッスン) | 公式サイト | ・大宮駅から徒歩圏内・現役ミュージカル俳優がレッスン担当・月謝制&柔軟なスケジュールで通いやすい |
未経験や初心者でも、プロのレッスンに触れることで、自分に足りない部分や強みが見えてきます。
「学歴がないと無理なのでは?」と不安になるかもしれませんが、ミュージカル業界は実力主義です。
むしろ、「学歴」よりも自分で動いてチャンスを掴みにいく「行動力」のほうが強いです。
ミュージカル俳優になるには?必要なスキルと日常の鍛え方

「才能より毎日の積み重ね」
ミュージカルの世界でよく聞く言葉です。
華やかな舞台の裏には、地道で地味な努力がびっしり詰まっています。
ここでは、ミュージカル俳優に求められるスキルと、それをどうやって日常の中で鍛えていけるのかを紹介します。
歌唱力と発声トレーニングの基本
ミュージカルは“台詞を歌う”舞台。
声は俳優の楽器です。
ただ歌えるだけじゃダメ。
心情をのせて「伝える」ことが求められます。
●普段からできる歌トレ習慣
- 朝イチのストレッチと発声(無理に出さず、体を起こす感じで)
- ハミングやリップロールで喉を慣らす
- ボイストレーナーのYouTubeを活用して1日10分練習
- 歌詞の意味を考えながら「しゃべるように歌う」練習をしてみる
喉は筋肉なので、使わないと鈍ります。
ジムと同じで“継続”が大事です。
ダンスと身体表現の練習方法

舞台では、手の動きひとつで気持ちが伝わります。
なので、ただ「振付を覚える」だけではなく、“体全体で感情を動かす”練習が必要です。
●体の感覚を育てるコツ
- ダンス未経験なら、まずはバレエやジャズの入門クラスへ
- スクールに行けない日は、自宅で簡単な筋トレ+ストレッチ
- ミュージカル映画を観て、動きを真似してみる
- 鏡や動画で「自分の動き」をチェックしながら調整する
ダンス経験がなくても焦る必要はありません。
身体は素直なので、ちゃんと応えてくれます。
演技力・表現力を伸ばすためにできること
うまい演技じゃなく、「その人(役の人物)に見えるか」がすべて。
セリフを覚えるのは第一歩。
でも本番では、感情がそこにあるかどうかのほうが大事です。
●日常の中でできる演技のヒント
- セリフを録音して自分で聞いてみる(棒読みチェック)
- 映画やドラマを「感情の動き」に注目して観てみる
- 「この人、今どんな気持ちかな?」と普段から人間観察する
- 友達に台本を読んでもらって、掛け合いで練習してみる
演技って実は、相手の気持ちを考える力でもあります。
日常の中でも鍛えられます。
体力づくりとメンタルの維持方法
長期の公演、本番続き、移動…ミュージカル俳優は体力勝負です。
ただ、スポーツ選手と違って“見せる体”を保つ必要もあるのが特徴です。
●日常で意識できること
- 睡眠を削らない(寝てる間に喉も回復します)
- 食事はバランス命。特にたんぱく質とビタミンをしっかり
- 喉の乾燥対策は常に(加湿器・のど飴・水分補給)
- ストレスは声に出ます。疲れたら無理せずリフレッシュ
年代別に見る「ミュージカル俳優になるには?」

「この歳からじゃ遅いかな…」そう感じる人こそ、読んでほしい話です。
ミュージカルの世界に「年齢制限」はありません。
でも、始める時期によって向いてるやり方や通り道は変わってきます。
それぞれの年代に合った進め方を見てみましょう。
中学生・高校生から始める場合に大切なこと
一番の武器は“時間”と“伸びしろ”。
焦らなくて大丈夫です。
この時期は、技術を詰め込むよりも、まず“体をつくる”“習慣をつくる”が大切です。
●この時期にやっておくと後が楽になること
- バレエやジャズなど、基礎ダンスに触れておく
- 歌うことに抵抗をなくしておく(声変わり中は無理しない)
- 舞台経験を積んでおく(学校演劇や市民ミュージカルなど)
- 体を動かすのを楽しむクセをつける
周りと比べるより、「今、ちょっとずつ続けてる」こと自体が大きなアドバンテージになります。
大学生から本格的に挑戦する進路と準備

「ミュージカルがやりたい!」と思った時が始めどき。
大学生からでも、まだまだ間に合います。
このタイミングは、「実践」と「戦略」がカギです。
●大学生のうちにできる準備
- 演劇サークルや外部の舞台にどんどん出てみる
- ミュージカル系のワークショップや合宿に参加してみる
- プロ養成所のオーディションに挑戦してみる
- 費用や時間の負担を抑えるならミュージカルコースのあるボイトレスクールに行ってみる
逆に考えれば、演技も歌も、始めるのが遅いほど人生経験が活かされ、“感情”が深まるというメリットもあります。
社会人・子供からでも目指せるチャンスと方法
「今さらかな…」と思っても大丈夫。
社会人になってからでも、プロを目指す道はあります。
大人でも、子供でも、「できる形で始める」ことさえできればチャンスはあります。
●社会人が取れる現実的な選択肢
- 夜間や週末だけのスクールに通う
- 自分の都合に合わせて予約できるスクールに通う
- オンラインレッスンで時間を有効活用
- アマチュア舞台やワークショップに参加して実践を積む
最近は、柔軟なスケジュールで通えるボイトレスクールも増えています。
ミュージカルに特化した専門コースがあるところも多く、予約制で「自分のペース」で学べるのが魅力です。
ミュージカルコースのあるボイトレスクールはこちらにまとめています。👇👇
●子供が挑戦する場合

- 地域の子役募集や市民ミュージカルが入り口になる
- 成長期なので、身長や声変わりの時期は要チェック
- 「習い事感覚」で楽しく始めることが大事
「才能のある子だけがなれる」という誤解は、大人も子供も、意外と足かせになってるのかもしれません。
月単位で通えるミュージカルコースのあるボイトレスクールも増えていて、養成所のような高額な入所金も不要なケースが多いです。
予約制ならスケジュールも柔軟に調整しやすく、初めての習い事としても始めやすい環境が整っています。
たとえば「NAYUTAS(ナユタス)」の舞台・ミュージカルコースや、「Beeボイストレーニングスクール」の舞台・俳優コースでは、3歳〜80歳まで幅広い年齢層の方が通っている実例もあり、子供のうちから本格的な表現力を育てる場としてもおすすめです。
詳しくは上部の「👉 自分の都合で通えるスクール 👈」にまとめています。
📎 参考:
👉 NAYUTAS「舞台・ミュージカルコース」
👉 Beeボイストレーニングスクール「舞台・俳優コース」
ミュージカル俳優になるには?リアルな生活とキャリアの築き方

“夢を仕事に”したあとに続くのは、毎日の積み重ねとちょっとのサバイバル力。
舞台に立つまでも大変ですが、立ったあともリアルな現実が待っています。
ここでは、オーディション対策から働き方、海外チャンスまで、俳優として続けていく上で知っておきたいポイントをまとめました。
オーディションの種類と合格するための対策
オーディションは「受け慣れ」も大事。
数をこなすほどコツが見えてきます。
ただし、準備ゼロで挑むと心が折れやすいので、ポイントを押さえて臨むのがコツです。
●主なオーディションの種類
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 劇団オーディション | 所属メンバーや研究生を選ぶ(例:劇団四季) |
| 作品オーディション | 特定の舞台出演者を募集(例:レ・ミゼラブル) |
| 子役オーディション | 年齢・身長などの条件付きで募集される |
📎 参考:
👉 ミュージカル『ライオンキング』子役オーディション募集要項
●合格に近づくための準備
- 課題曲や台本は“解釈力”も問われる
- 声・動き・表情を含めた「全身の表現力」を磨く
- あいさつや時間厳守など、基本的なマナーも評価対象
- 「作品を引き立てる存在か」も見られるので、出しゃばりすぎ注意
プロとアマの違い、仕事の現場で求められること
当然のことですが、舞台裏で“ちゃんとしてる人”が信頼されます。
技術があるだけでは続きません。
現場で求められるのは「一緒に仕事したい」と思われる人柄や姿勢です。
●プロとして必要なこと
- 台本をしっかり覚えてくる(当然だけど大事)
- 稽古中の指示は即メモ、即反映
- チーム全体の動きを見て動ける空気感
- 小さな仕事でも真剣に取り組む姿勢
アマチュアとの一番の差は「責任感」と「安定感」です。
ミュージカル俳優の収入事情と働き方の現実

「好きなことを仕事に」は素敵。
でも、家賃も生活費も必要です。
実際、収入はどうなのか?
気になる部分も、包み隠さずお伝えします。
●ざっくり収入イメージ(目安)
| ステージ | 年収の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 新人・駆け出し | 50万〜180万円 | アルバイト併用が前提 |
| 中堅・準主役 | 180万〜500万円 | 公演数や劇団によって変動 |
| 主役クラス以上 | 500万〜数千万円 | 外部出演や映像仕事も影響 |
●よくある働き方の形
- 劇団所属:安定感はあるが、契約に縛られることも
- フリーランス:自由度は高いが、収入は不安定
- 芸能事務所所属:映像やCMなど、舞台以外の仕事にも広がりやすい
「稽古中は無給」というケースも多いため、副業や収入源の確保は現実的な課題です。
海外経験や英語力が役立つ場面
海外で活躍するのは夢のまた夢…じゃない時代です。
むしろ、“日本人だからこそできる役”も多い時代。
チャンスは、意外と近くにあります。
●海外挑戦で求められる力
- 英語力は“話せる”よりも“理解して動ける”が重要
- アクションを起こせる行動力と情報収集力
- 多様な文化に柔軟に適応する力
ミュージカル『ミス・サイゴン』『王様と私』など、アジア系キャストが活躍する場面は多数。
海外のオーディション情報はSNSや現地サイトで一般公開されていることも多く、「語学は苦手だけど、とりあえず応募してみた」が突破口になる例もあります。
まとめ|ミュージカル俳優になるには努力と継続がカギ

ミュージカル俳優を目指すうえで大切なのは、特別な才能よりも、地道な練習と、ちょっとの勇気。
いきなり舞台に立てなくても、今日やったひとつの練習が、未来の自分につながっていきます。
今日から始められる小さな一歩と未来につながる行動
やる気が出た“その瞬間”こそが、動き出すベストタイミングです。
難しく考えすぎず、「できることを、できる範囲で」がポイントです。
●初心者が今日からできること
- 朝、軽くストレッチして呼吸を整えてみる
- 好きなミュージカルナンバーを1曲、口ずさんでみる
- 気になるスクールやオーディション情報を1つ調べてみる
- SNSで舞台俳優の投稿をフォローして、日常をのぞいてみる
- 自分の声をスマホで録音して聞いてみる(案外、発見あります)
どんな一流俳優も、最初の一歩は「ちょっと恥ずかしい練習」や「うまくいかない自主練」から始まっています。
●最後にひとこと
誰かと比べなくて大丈夫です。
必要とされるのは「誰かより上手いこと」じゃなく、「自分にしかできないこと」を育てていくことです。
「その人にしかできない役」は、誰かが勝手に与えてくれるものじゃありません。
自分で探して、自分の手で掴みにいくものです。
たとえ時間がかかっても、遠回りしても、途中で休んでも、「続けた人だけが届く場所」が、きっとあります。
あなたの第一歩が、舞台の光に少しでも近づくきっかけになりますように。


