「どう?最近仕事あるの?」
そんな一言が、やけに胸に刺さる日があります。
夢を追って俳優を続けている。
でも、気づけば年齢だけが上がっていく。
バイトに明け暮れる日々。
SNSでは仲間の活躍。
「自分はこのままでいいのか」と、夜ひとりで考えてしまう。
今回は、売れない俳優の年収のリアルと、そこからどう生きていくかを、一緒に考えてみたいと思います。
売れない俳優の年収はどれくらい?

俳優の世界には“下積み”という言葉がありますが、実際の生活は想像以上に厳しいです。
それでも、なぜ辞めずに続ける人がいるのか。
その理由も、年収の話の先に見えてきます。
俳優の収入はどう決まるのか
俳優の収入の形態は、かなり複雑です。
たとえば、同じ「映像の仕事」でも、
- 映画なのか、ドラマなのか、Web作品なのか
- 配信系かテレビ局制作か、キー局か地方局か
- 主演クラスか端役か、セリフがあるかどうか
- 商業作品か自主制作か
など、条件によってギャラの相場は大きく違ってきます。
もちろん知名度によっても。
そして、舞台も同様で、
- 商業演劇か、小劇場か
- チケットノルマがあるか、ギャラが出るか
- 稽古期間が長いのにギャラは少ない、なんてことも普通にあります。
このように、さまざまな要因によって違います。
たとえば舞台で「出演料40万円」だったとします。
でも、稽古期間が「1週間」の場合と「2ヶ月」だった場合では、同じ額でも割合が違ってきますよね。
また、所属している事務所との契約内容によっても、俳優本人に入ってくる金額は変わります。
たとえば同じ3万円の仕事でも、「事務所が5割取る契約」か「交通費だけ引かれる契約」かで、手取りは全然違います。
(※交通費だけなんてことはほぼありませんが、笑)
以下は、あくまでざっくりとした目安の一例です:
媒体 | ギャラの目安 | 備考 |
---|---|---|
舞台(小劇場) | 1ステージ5,000円〜15,000円 | 稽古代や交通費が出ないことも |
映画(エキストラ) | 日給3,000円〜10,000円 | 食事や交通費が自腹の場合も |
テレビドラマ(端役) | 1話5,000円〜3万円 | 長時間拘束のわりに単価は低め |
CM(全国放送) | 数十万円〜数百万円 | エース級の俳優でないと難関 |
企業VP(PR動画) | 半日〜1日で1万〜5万円程度 | 安定的に案件があるわけではない |
つまり、「テレビに出ている=生活できている」とは限らず、多少は名前の知られた俳優でも、実際はバイト生活を続けている人もいます。
売れない時期の収入は本当にゼロなのか

ほとんどの人が「ゼロに近い月」(いや、むしろゼロ)を経験しています。
オーディションは落選続き。
ギャラの発生する仕事は月に1回あるかないか。
もっと言えば、年に数回しか仕事のない俳優(志望?)もたくさんいます。
その結果、年間の俳優としての収入が:
- 数万円
- 0円(=1円も発生していない)
- 交通費すら出ない“出演”
そんな年が、何年も続くケースもあります。
「俳優だけで食べていけてる人」は、全体のほんの一握りです。
バイトだけで食いつなぐ生活は可能?

答えは「可能。ただし、メンタルが削られる」です。
バイトは生活を支える命綱。
でも、急なオーディションが入ってシフトを代わってもらうたびに、いろんな人に頭を下げて申し訳なさを感じつつ「いつまでこんな生活を…」と自問することになる。
以下は、売れない時期の“よくある1ヶ月の収支例”です。
項目 | 金額(目安) | 備考 |
---|---|---|
バイト収入 | 約10〜13万円 | 週4〜5日勤務での月収 |
家賃・光熱費 | 約5〜8万円 | 都内ひとり暮らし想定 |
食費・通信費 | 約2〜3万円 | 自炊中心でもかかる |
俳優活動費(稽古代・交通費など) | 約1〜2万円 | オーディション・現場の移動など |
習い事費(演技レッスン・殺陣・ダンス等) | 約1〜3万円 | 月謝制/単発レッスン含む |
残り(貯金など) | ほぼゼロ | ほとんど余らない |
「演技を磨くための習い事」も、俳優にとっては欠かせない自己投資です。
- 演技レッスン(月1〜2万円)
- 殺陣やアクション教室
- バレエやジャズなどのダンス
- 日本舞踊や乗馬などの専門稽古
こうした費用も加わると、バイト代はほとんど消えていくのが現実。
俳優として活動しているかどうか以前に、「生きるために働くこと」が生活の中心になってしまいます。

そして、つらいのは努力しても確実に“結果につながるわけではない”ということ。
周りと比べるたびに、自分の価値まで見失いそうになる。
それでも多くの人が続けているのは、「何かをきっかけに、俳優としての道がパッと開けるかもしれない」と、どこかで信じているから。
「やめたら後悔する」という気持ちもあるけど、それ以上に、“その一瞬”を逃したくないんです。
現実は厳しい。
でも、収入なんて関係なく、単純に演劇が好きだから。演じることが好きだから。
そんな想いで続けている人もたくさんいます。
売れない俳優はどうやって生活している?

多くの俳優が、バイト中心の生活を続けています。
その中で、「どうやって生きていくか」を模索しながら、自分なりの道を探しているのが現実です。
売れない俳優の副業・収入源の実例
ほとんどの売れない俳優は、バイトで生活費をまかなっています。
カフェ、居酒屋、コールセンター、倉庫作業、試食販売など……
「明日オーディションが入っても動けるように」と、融通が利く仕事を優先せざるを得ません。
でも、ずっとそれだけでは、体もメンタルも削られます。
だから最近は、「俳優の経験やスキルを活かした副業」に目を向ける人も少しずつ増えてきました。
以下はその一例です:
副業ジャンル | 内容 | 向いている人 |
---|---|---|
子ども向け演技教室運営 | 小学生向けの表現レッスン、WS開催 | 指導好きな人、人前が得意な人 |
YouTubeナレーション収録 | 音声教材や解説動画の読み上げ | 声の表現に自信がある人 |
タイムチケット・SNS代行 | 自己紹介動画や演技添削、SNS運用の代行 | 自分の強みを言語化できる人 |
撮影・編集・動画制作 | 舞台撮影やプロフィール映像制作 | 映像経験がある、機材がある人 |
まだごく一部にすぎませんが、「バイト以外の道がある」と気づくだけでも、心の余裕は大きく変わってきます。
もし、演技力・声・表現スキルを活かせる副業に興味があれば、「ココナラ・ストアカ
・クラウドワークス
」などをチェックしてみてください。
“俳優としての武器”を活かせる場所は、意外と身近なところにあります。
📎 参考
👉 ココナラ|公式サイト
👉 ストアカ|公式サイト
👉 クラウドワークス|公式サイト
売れないまま40代に突入したらどうなる?

年齢が上がるほど、オーディションのチャンスは減っていきます。
とくに40代に入ると、「対象外」になるケースも増えます。
(※もちろん、逆に40代以上だけを対象としたオーディションもあるにはありますが。)
現場でよく聞く声:
- 「30代までは“これから”で済んだけど、今は“まだやってるの?”って目で見られる」
- 「家族を支える年齢になったのに、将来が見えなくて怖い」
- 「役者としての深みは出てきたのに、求められる機会は減っている」
この節目のタイミングで、冷静に人生を見つめ直し、“やめる決断”をする人も多いです。
一方で、完全にはやめきれず、バイトをしながら続けている人もいます。
そんな中で、演技だけに頼らず、自分の生活を支える手段を持つ人が増えてきています。
- 副業で収入の柱をつくる
- 自分の経験を活かしてレッスンをする
- SNSや発信を通じて仕事の幅を広げる
演じることだけで生きていくのが難しいからこそ、現実と折り合いをつけながら、無理なく続ける道を選ぶ人もいるんです。
結婚や家庭はどうしてる?生活のリアル

「結婚できない気がする」
それは、多くの売れない俳優が一度は思うことです。
- 「将来の見通しがない自分のままで結婚なんて考えられない」
- 「子どもを育てる収入も、時間もない」
- 「パートナーに“支えてもらってばかり”という負い目がある」
でも現実には、売れていなくても家庭を持っている俳優はたくさんいます。
大切なのは、“演技だけで食っていく”という呪縛から一度離れること。
- 曜日や時間を選べる在宅ワークを取り入れる
- 配偶者と収入計画を共有し、支出を見直す
- 子育て中は、舞台よりも短期収録や声の仕事に絞る
結婚している人は、そうやって工夫しながら、家庭も俳優も、ちゃんと両立しています。
「売れない=不幸」にならないためにできること

売れていない自分を責めすぎないでください。
不幸なのは、売れていないことではなく、「他の道を知らないこと」かもしれません。
売れない時期をどう乗り越えるか
売れない時期に必要なのは、「諦めないこと」ではなく「視野を広げること」です。
この時期は、とにかく自信を失いやすい。
「自分には才能がないんじゃないか」
「このまま時間だけが過ぎていくのでは」
そんな不安で、夜が長く感じることもあります。
でも、その期間を“ただ消耗するだけの時間”にするか、“花開くための種まきの時間”にするかは、自分次第。
- 自分の強みを棚卸しする
- 演技以外のスキルを磨く
- 新しい表現ジャンルに触れてみる
やれることは、案外たくさんあります。
“売れない=止まっている”ではないんです。
発信力や副業で“選ばれる側”になる方法

今は、待っているだけでは選ばれません。
むしろ、自分を発信しないと“存在していない”のと同じ。
そう言っても過言ではないくらい、多くの人がYouTubeやTikTok、インスタを使って、自分のことを知ってもらう努力をしています。
だからこそ、「どんな演技ができるのか」「どんな魅力があるのか」「どんな価値があるのか」を、自分の言葉でちゃんと伝える力が必要です。
たとえば:
- SNSで演技練習や舞台裏を投稿する
- 自己紹介動画やデモ演技をYouTubeで公開する
- 自分の経験をnoteなどで発信する
こうした発信は、自分の強みを届ける手段でもあり、収入にもつながる“実践の場”です。
辞める前に考えたい「演じる道」の広げ方

俳優=テレビや舞台に出る人、という固定観念にとらわれていませんか?
実際には、演じる力を活かせる場所は、もっと広く存在しています。
- 企業研修やロールプレイング指導
- 教育現場での演劇ワークショップ
- 福祉施設での回想演劇や感情表現サポート
- ゲーム・アニメ業界での声の仕事
- モーションキャプチャーなどの“見えない演技”
どれも立派な「演じる仕事」です。
舞台や映像に出ることだけが、俳優のすべてじゃありません。
そう気づけたとき、行き止まりに見えていた道に、別の出口が見えてくることもあります。
「売れないから辞める」のではなく、今のうちに“続けられる形”を広げておくこと。
それが、夢を諦めないための、現実的な選択肢です。
売れない俳優の年収を知ったうえで選ぶ道

年収の現実を知って、それでもまだ「続けたい」「目指したい」と思えている自分がいるなら。
それは、もう十分に“才能”です。
あとは、その思いをどう形にしていくかだけです。
現実を知った今、自分はどうしたいのか
俳優という道は、夢と現実のあいだで揺れ続けます。
年収がゼロに近い年もある。
結婚や将来を考えると、不安だらけ。
それでも、「演じることが好き」という気持ちが消えない。
「やっぱり演じ続けたい」と思えるなら──
それがあなたの原点です。
- 売れる自分じゃなくてもいい
- 今すぐ大きく動けなくてもいい
でも、「動ける自分」には、今すぐなれる。
こう問いかけてみてください。
このまま何もせず、1年後も同じ場所にいたら、後悔するか?
それとも、「やれることはやった」と思えていたら、納得できるか?
1年後の自分が、今の自分に「ありがとう」と言えるか?
未来はわかりません。
でも、どんな一歩でもかまいません。
ほんの少しでも動き出せたら、それはもう、“近づいてる”ということです。