テレビや映画と違って、その場の空気やお客さんとの一体感がダイレクトに伝わるのが舞台の特徴です。
俳優を目指す人の中には「将来は有名な舞台俳優になりたい」「演技の楽しさをもっと知りたい」と考えている方もいると思います。
でも、具体的にどうやって舞台俳優になるのか、何をやればいいのか、いまいちピンと来ないことも多いはずです。
そこで今回は、舞台俳優への道のりを「中学生・高校生」「大学生」「社会人」といった年齢別に分けて解説します。
さらに、実力をつけるための方法や、厳しいと言われる舞台俳優のリアルも紹介します。
演技初心者でも大丈夫。
今から始められるステップやコツを詳しくお伝えするので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
舞台俳優になるには?基本の流れを知ろう

舞台俳優の仕事とは?どんな活躍ができるのか
舞台俳優は、脚本の世界観を生身の身体と言葉で伝えるので、お客さんの反応を肌で感じられるところが大きな魅力です。
具体的には以下のような場面で活躍します。
- ストレートプレイ(会話劇)
人間ドラマを会話で展開するお芝居 - ミュージカル
歌やダンスでストーリーを盛り上げる作品 - オペラやオペレッタ
声楽やオーケストラとともに表現する大規模な舞台 - 商業演劇
有名な脚本家や演出家による大きな劇場公演 - 小劇場・アングラ演劇
自主制作の舞台や、少人数で行うアート性の高い公演
上記以外にも、2.5次元舞台など、一口に舞台といってもいろいろな形があります。
セリフ回しや動きはもちろん、時にはアクションやアクロバット、楽器演奏など多彩なスキルが求められることもあります。
自分の得意分野や興味に応じて舞台の種類を選んでみるのも面白いですよ。
舞台俳優になるためのルートとは?
舞台俳優になるには、いくつかの典型的なルートがあります。
たとえば以下のようなものです。
- 演劇部やサークルなど、学生時代から経験を積む
- 劇団の研究生になる・養成所に通う
- オーディションを受けて合格し、公演に出演する
- 企画公演を自分たちで立ち上げ、プロデュースする
実はこれらのルートは単独で行うのではなく、同時に進めることが多いです。
たとえば、養成所に通いながら演劇サークルにも参加するなど、いろいろな現場で学びながらチャンスを広げていくイメージです。
舞台俳優に向いている人の特徴
舞台俳優には、下記のような特徴を持っている人が向いている傾向があります。
- 人前に立つことが好き
お客さんからの視線をエネルギーに変えられるタイプだと楽しく続けられます。 - チームワークを大切にできる
舞台は共演者やスタッフとの連携が重要です。協力し合う姿勢が欠かせません。 - 練習量を惜しまない
公演に向けて稽古が続きます。体力的にも精神的にも継続して努力できる人は強いです。 - 挑戦するのが好き
新しい役や演出に柔軟に向き合い、自分の殻を破る覚悟が必要です。
もちろん「向いていそうに見えないけど舞台に強い魅力を感じる」という場合でも、挑戦してみる価値はあります。
むしろ「新しいことをやってみたい」「表現してみたい」という気持ちが一番大切です。
舞台俳優を目指すなら!年齢別の始め方

中学生・高校生から目指す場合|学校の演劇部やレッスン
中学生や高校生の段階から演劇の世界に足を踏み入れるのは、とてもいいスタートになります。
学校に演劇部がある場合は積極的に入部してみましょう。
そこで舞台に立つ経験をし、セリフ覚えや舞台マナー、チームでひとつの作品を作る楽しさを学べます。
- 劇の練習を通じて基礎的な演技力を養う
- 舞台装置や照明、音響などの裏方を学ぶ機会がある
- 他校との交流試合や文化祭など、人前で披露するチャンス
また、地域の劇団やスタジオが主催しているレッスンに参加するのもおすすめです。
学校だけでは学べない専門的な視点から、より具体的な演技指導を受けられます。
大学生から目指す場合|演劇サークルや養成所の活用
大学生になると、より自由に時間を使えるようになります。
そこで多くの人が演劇サークルに入り、大会や学園祭公演などで演技経験を積んでいきます。
大学には独自の劇場施設があるところも多く、本格的な舞台を体験する機会が増えるでしょう。
- 同年代の仲間たちと切磋琢磨できる
- 自分で脚本を書いたり、演出に挑戦するケースもあり、多面的なスキルが身につく
- 大学同士の演劇祭などで他のサークルと交流できる
- キャラメルボックス
1985年に早稲田大学の演劇サークル「てあとろ’50」出身の成井豊さんや加藤昌史さんらによって結成されました。
設立以来延べ270万人の観客を動員し、日本随一の人気劇団となりました。 - 劇団☆新感線
大阪芸術大学の学生劇団からスタートし、1980年代にプロとして活動を開始しました。
独特の演出スタイルと個性的なキャストで人気を博しています。 - 東京サンシャインボーイズ
2025年に復活公演を行うことが決定している、三谷幸喜さん率いる東京サンシャインボーイズも、三谷さんが日本大学芸術学部に在籍していた1983年に高校や大学の同級生と共に旗揚げし、「最もチケットの取れない劇団」と言われるほどの人気を博しました。
さらに、大学生のうちに養成所に通う人もいます。
カリキュラムに沿って基礎から教わることで、「趣味」から一歩進んだレベルの演技力を習得できます。
オーディション情報もゲットしやすくなるのが養成所の大きなメリットです。
社会人から目指す場合|劇団やワークショップに参加する
社会人になってから舞台俳優を目指す人も少なくありません。
仕事をしながらでも通える夜間や週末のレッスン、ワークショップは増えています。
大手劇団から小劇団まで、社会人向けに門戸を開いているところは多いです。
- 時間管理
仕事と稽古を両立させるために、スケジュール調整が大切 - 劇団選び
初心者OKの劇団やワークショップを探す - ネットワークづくり
周囲とのつながりを作ると情報を得やすい
一度仕事で疲れたあとに稽古へ行くのは体力的にハードかもしれません。
でも、好きなことだからこそ頑張れる人も多いです。
自分の熱意を活かして、一歩ずつ成長していきましょう。
また、週末に通える養成所を選択する人も多いです。
僕の養成所時代の同期はほとんどが社会人だったので、週末コースで養成所に通ってレッスンを受けていました。
舞台俳優になるための実力をつける方法

養成所や劇団のレッスンを受ける
本格的に演技力を身につけたいなら、養成所や劇団でのレッスンは避けて通れない道です。
そこでは基礎的な発声・滑舌・体の使い方から応用的な表現方法まで、段階的に学べます。
- 発声・滑舌トレーニング
腹式呼吸や早口言葉 - 身体表現
立ち姿、歩き方、演技に必要な筋力トレーニング - 即興演技
アドリブ力を磨いて緊急時の対応力を養う - シーンスタディ
脚本の読み込みから役作りまでを実践する
もちろん上記以外にも、多くの養成所では、舞台での演技レッスンやカメラ前での演技レッスン、それから日本舞踊やアクションといったような幅広い内容のレッスンがあります。
レッスンを継続していくうちに、「自分がどのタイプの役に向いているのか」「どんな演技スタイルが得意なのか」が見えてきます。
講師や先輩から的確なアドバイスをもらい、どんどん吸収していきましょう。
オーディションを受ける|合格するためのコツ
舞台俳優になるには、オーディション合格がひとつの大きなチャンスです。
オーディションでは短いセリフの読み合わせや即興演技などが課題になることが多いです。
以下のポイントを押さえておくと、合格の可能性が高まります。
- 自分の魅力をアピールできる準備
- 短い自己PRや、特技・経歴を説明する練習をしておく
- 印象に残るように、声のトーンや話すスピードに気を配る
- 課題演技の入念な練習
- セリフや歌、ダンスがある場合は最低限のミスをなくせるように仕上げる
- ただ暗記するだけでなく、役の気持ちやシーンの状況を意識する
- 姿勢や態度を大切にする
- オーディション会場に入った瞬間から、明るいあいさつと礼儀正しい振る舞いを意識
- ふだんから身体づくりをしておくと立ち姿が変わります
結果がどうであれ、オーディションを受けると得られる学びは大きいです。
「緊張して何もできなかった」という経験も糧になります。
トライ&エラーを繰り返すうちに、オーディション慣れしてどんどん自信がついてきます。
自主練習で演技力を高める|おすすめのトレーニング方法
レッスンやオーディションだけでなく、自分自身でもコツコツと鍛えることが重要です。
下記のようなトレーニング方法なら、自宅や外でも手軽に実践できます。
- 声だし練習
- 大きめの声を出せる場所で、詩やセリフを感情を込めて読んでみる
- 録音して聞き返し、滑舌や声のトーンを客観的にチェック
- 鏡の前での表情・動きチェック
- 喜怒哀楽など、いろいろな感情を表現する顔の動きを確認
- 立ち姿や歩き方を映して、不自然な姿勢を修正
- 好きな映画やドラマのシーンを再現
- 実際の映像を観ながらセリフを口に出して真似をする
- 俳優さんの目線や細かな動きにも注目する
継続は力なりという言葉がありますが、演技もまさにそうです。
最初は苦手だと思っていたことが、繰り返すうちに自然にできるようになります。
舞台俳優のリアル|大変なこと・やりがい

舞台俳優はきつい?厳しい世界の現実
華やかに見える舞台俳優の世界でも、大変なことはたくさんあります。
稽古は長時間にわたり、稽古場に通う交通費や衣装代など、意外と自己負担が多い場合もあります。
公演前になると朝から晩まで稽古になることも珍しくありません。
体力も精神力も必要なので、きついと感じる瞬間は正直あります。
でも、そこで得られる達成感は格別です。
長い稽古期間を乗り越え、初日の幕が上がった瞬間、お客さんの拍手を浴びながら「やってよかった」と心底思えるのが舞台の魅力でもあります。
舞台俳優の年収はどれくらい?生活はできる?
舞台俳優の収入は、公演の規模や回数、劇団の方針などによって大きく変わります。
専業で生活できる人はまだまだ限られており、アルバイトを掛け持ちしながら舞台活動を続けるのが現実です。
成功して有名舞台に立てるようになれば高収入を得るチャンスもありますが、安定した保証がある仕事ではありません。
参考例(あくまで目安)
活動の規模 | 収入目安 |
---|---|
小劇団の若手公演 | 交通費・食費が出る程度 |
商業演劇の公演 | 1ステージあたり数千円~数万円 |
有名劇団の主役級 | 月給制または公演ごとの高額ギャラ |
ミュージカルの主役 | さらに高収入になる場合も |
とはいえ、舞台俳優の魅力はお金だけでは語りきれません。
大好きな演技を仕事にして、人々に感動や驚きを与えられるのはとても価値のあることです。
舞台俳優として長く活躍するために大切なこと
舞台俳優として長く活動していくためには、以下のポイントを大切にするといいでしょう。
- 健康管理
- 舞台は体が資本。食事や睡眠、運動をおろそかにしない
- 学び続ける姿勢
- 演技の技術はもちろん、発声やダンスなど新しいスキルを身につける努力を継続する
- 人脈づくり
- 共演者やスタッフとのつながりが次の仕事につながることも多い
- 自己プロデュース力
- 自分でSNSを活用したり、ワークショップを企画して新しい舞台を作るなど、積極的にアクションを起こす
どんなに演技が上手でも、体調を崩して休んでばかりでは現場に呼ばれなくなってしまいます。
周りの人との関係性を大事にすることで、舞台の仕事が広がることもあります。
自分らしさを追求しながら、柔軟に世界を広げていくのが成功への近道です。
【まとめ】舞台俳優になるには?夢を叶えるために大事なこと

舞台俳優を目指す道は、どの年齢からでもスタートできる可能性があります。
中学生や高校生なら演劇部での基礎トレーニングを楽しみ、大学生なら演劇サークルや養成所で経験を積むのがおすすめです。
社会人であっても劇団やワークショップで始められます。
レッスンやオーディションなど、さまざまな挑戦を通じて実力を伸ばすのが舞台俳優としての王道です。
小さなステージからでも、人前で演技する経験を積むのが大事。
オーディションに落ちることもあるかもしれません。
でも、その経験はすべて自分の演技に深みを与えてくれます。
舞台の世界は厳しい面もありますが、そこには大きなやりがいと感動が待っています。
ぜひ、自分なりのペースで一歩ずつ前に進んでみてください。